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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

放射線測定等

NEW低温・高湿等の過酷環境下でも動作する長期信頼性の放射線測定器

長期信頼性を有する方向弁別可能なコンパクト放射線測定器の開発

各種シンチレータ結晶特性比較

各種シンチレータ結晶特性比較

検出器分離型サーベイメータの写真

検出器分離型サーベイメータの写真

方向弁別性を有する小型放射線検出器モデル例

方向弁別性を有する小型放射線検出器モデル例

企業

古河機械金属株式会社(茨城県つくば市)

研究機関

山形大学理学部

研究開発実施期間

平成25年10月〜平成27年3月

研究概要

東日本大震災に伴う福島第一原発事故により福島県内をはじめとする周辺地域の放射能汚染が進んだことで、農業・漁業・水産関係業界は風評被害を受けており、早急な放射能汚染状況の把握が必要です。現在、各地で除染作業が行われ、多くの汚染物が発生し仮置き場に一時保管しています。仮置き場の放射線量の管理はモニタリングポストにより行われていますが、氷点下の環境では従来のNaIを使用したモニタリングポストでは正確な値を示さないことが判明しております。また、除染時の放射線量測定では放射線の線源の方向・場所の確認ができないために、線量測定に多くの時間が必要となっています。河川に利用した場合は、水面下、岸、土手等の線量分布を大雑把に把握することが必要になります。このため、あらかじめ強い線源の方向・場所を把握することで、除染計画立案が短時間で済むとともに、除染後の線量確認時間も短縮されますので、長期信頼性のある耐久性の高い方向弁別性を有する放射線測定器を開発します。
これらを実現するため、放射線検出を目的として自社開発した高感度・高発光量で潮解性の全くないシンチレータであるCe:GAGG(セリウム賦活ガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット、Ce:Gd3Al2Ga3O12)結晶を用い、エネルギー補償機能やコンパクトな方向弁別性付与技術、氷点下での正常動作・評価、小型・低コスト化を検討します。

期待される効果

従来はNaIシンチレーション式放射線測定器がスタンダードとして使用されていますが、長期使用する際のシンチレータ結晶の潮解性によるデメリットが判明し、それへの対応が必要となっているため、潮解性がなく、高感度・高発光量の理想的なシンチレータを用いる本製品が実用化できれば社会的価値、効果は非常に大きいものと期待できます。
事業化にあたっては、従来品に係る優位性を示すことによる市場展開が不可欠であるため、低温・高湿領域等、通常の気象条件でも過酷な環境下で正常な動作が可能、小型・低価格、指向性を有する放射線測定器として実証試験を積み重ねてのビジネス展開を目ざしています。

マッチングプランナーの声

古河機械金属は被災地域に本開発製品の核となるGAGGシンチレーション素子を製造している工場があります。放射能汚染調査に同社の素子を是非活用してもらいたいとの相談をうけ、本事業のスキームに合う計画となるように申請書作成などの支援を行い、本プロジェクトにつながりました。
(担当マッチングプランナー 郡山事務所 鴨志田敏行)

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