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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

環境・社会基盤・その他

開水路の流水中に水没させるだけで発電する小水力発電装置の開発

流水で発電可能かつ可搬性を有する集水装置を備えた軸流水車の開発

縮小モデル水車の外観(回流水槽実験装置内)

縮小モデル水車の外観(回流水槽実験装置内)

自由表面を考慮した流体シミュレーション結果

自由表面を考慮した流体シミュレーション結果

簡易設置が可能な本開発製品

簡易設置が可能な本開発製品

企業

株式会社茨城製作所(茨城県日立市)

研究機関

茨城大学工学部

研究開発実施期間

平成24年11月〜平成25年4月

研究概要

東日本大震災を機に再生可能エネルギー利用の機運が高まってきており、自社保有モータ製造技術を活用すべく、開水路の流水中に水没させるだけで発電する小水力発電装置を開発するものです。普通、水の落差を利用するダム式のものが多いが、導水のための大掛かりな設備・土木工事が不要であり、低コスト・設置が容易ということを目ざしています。
製品化には高発電量・小型/軽量化など先行類似製品との差別化を図ることが必要であるため、これまで茨城大学との共同研究で開発してきた試作機をベースにして小型化と高性能化と相反する技術課題解決を目標に、羽根車および集水筒の設計に向けて回流水槽実験装置の設計製作から始め、同装置を使用した実験および流体シミュレーション解析を実施し、最適構造設計データを得ました。
本装置の実証実験を福島県南会津郡只見町において実施し、地元自治体や地域コミュニティも大きな関心を寄せています。

期待される効果

本事例は持続可能な社会の実現に向けた再生可能エネルギー利用の一例として小水力発電装置を提案するものであり、水の落差利用のダム式発電に比べて発電能力は小さいですが、地産地消のエネルギーの有効利用を目ざしています。電気エネルギーの多様化が求められる時代でありますが、この類の製品は経済性も低く、まだまだ社会に認知されていないのが現状であるため、コンパクト・可搬性の特徴を最大限に活かせる災害時や緊急用の独立電源(売電は対象外)として自治体などでの利活用を期待しています。

研究開発成果

当社試作機における集水装置の軸方向長さを3割程度短縮しても以前のものと同等の発電量(流速 約1.7m/sで200w/h)を確保することができ、高性能・コンパクト化の目標達成の見通しが得られました。これにより他社製品との差別化が図られるとともに、自由表面を考慮した流体シミュレーション解析と回流水槽実験により性能予測が可能になりました。
なお、本製品は平成25年12月から受注を開始しており、本事業で習得したシミュレーション解析技術を設計に活用して各種ニーズごとに対応するオーダーメイド的受注体制を目ざしています。

マッチングプランナーの声

(株)茨城製作所はモータ製造技術を活かす製品開発を進めており、新規分野で資金的な面で苦慮していましたが、大学との共同研究の見込みが立ち、本事業の主旨に合う被災地域への貢献もできる事業展開とのことでしたので、事業計画立案から支援し、実施してまいりました。今まで実現できなかった企業体質改善にもつながりつつあり、今後の事業展開に期待をしています。
(担当マッチングプランナー 郡山事務所 鴨志田敏行)

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