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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

放射線測定等

NEW920MHz ZigBeeネットワークを使った屋外放射線モニタリングシステム

小型・低価格放射線量モニタリングネットワークシステム

「ポケットガイガー」本体

「ポケットガイガー」本体

野外実証実験風景

野外実証実験風景

「新モニタリングポスト」プロトタイプ

「新モニタリングポスト」プロトタイプ

「農地モニタリングポスト通信」イメージ

「農地モニタリングポスト通信」イメージ

企業

ヤグチ電子工業株式会社(宮城県石巻市)、株式会社スマートコミュニケーション(東京都)

研究機関

慶應義塾大学理工学部

研究開発実施期間

平成25年1月〜平成27年3月

研究概要

ヤグチ電子工業では、オリジナル商品であるスマートフォン接続型線量計「ポケットガイガー」(累計出荷台数4万台)をベースに、小型・低価格の屋外放射線モニタリングポストシステムを開発します。その実用化のためには、まず、ソーラーパネルで24時間365日の運用が可能となるよう、低消費電力化が求められので、慶應大学・松本教授の回路集積化により、1/10の省電力化を実現します。さらに、膨大な測定データを集約するためには、安価に使用できる通信方式が求められるので、電気通信大学発ベンチャーのスマートコミニケーション鰍ノよって920Mhz帯ZigBee通信モジュールを開発します。このようにヤグチ電子工業では、小さく、イニシャル・ランニング両面でのトータルコストが安価であり、メンテナンス工数の掛からない、新しいモニタリングポストを完成させます。

期待される効果

本製品は、個人や自治体、農業法人などのレベルで放射線災害・事故・監視に備えられる、小型で低コストなモニタリングポストです。価格設定は個人ユーザーにも手が届くレベルとすることで、除染された土の仮置き場、農家・酪農家、自治体、学校、企業、食品工場、プラントなど様々な場所において、様々なプレイヤーが簡単に放射線定点測定・監視を実施することが可能になり、ひいては地域住民の安心・安全、農畜産物の安全供給や風評被害防止など、様々な効果が期待できます。また将来的には、放射線だけでなく、気象・土壌・PM2.5など様々なセンサを追加することで、農業ITや広域環境監視など、ユーザーの多様なニーズに答えられる商品とすることを目指しています。

これまでの研究開発成果

2013年盛夏に野外実証実験を行い、920MHz ZigBeeによって、実用上十分な通信距離(見通しで2km以上)を確保できることを確認できました。同時に、耐環境性(耐熱性、防水性など)の問題を発見することができ、排熱対策などの設計変更を施しました。さらに、2014年初に、冬季での実証実験を行い、耐低温性能が十分であること、低消費出力化も、現時点でポケットガイガーの1/10以下となっており、ソーラーパネルとリチウムイオン電池の充電効率から考えれば実用上十分なレベルまで達しつつあることを確認しました。
現在、今夏の長期ミニタリング実証実験で、全体システムとして実用化レベルにあることを実証できる見通しが得られるまでに、到達しています。

マッチングプランナーの声

ヤグチ電子は、ハンディーな“ポケットガイガー”の開発・量販実績を持ちますが今回の“屋外ネットワークシステム”の実用化にあたっての、『最も大きな、新たな課題は、“耐環境性能”である』と捉えました。そこで、研究開始直後から、実験室と併行して、屋外での実証試験を行うことを勧めました。その結果、2013年夏の酷暑、2014年冬の極寒下での実験から、数多くの知見・問題点が明らかになり、それらを克服するべく、開発を進めています。
(担当マッチングプランナー 仙台事務所 藤田慶一郎)

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