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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

農業・農産加工等

福島県の有機農家に安全な高機能バイオ堆肥を提供したい

カット野菜残渣を活用した大容量ミミズコンポストによるセシウムフリーの高機能バイオ堆肥の開発

株式会社メディカル青果物研究所1

ミミズコンポストの調査。コンポストの中には多数のミミズがいるが、野菜残渣の分解環境に応じて生息数や生息場所が変動する。ミミズの最も働きやすい環境を見つける。

株式会社メディカル青果物研究所2

ミミズコンポストを使用してミニトマトの試験栽培を行った。ミミズコンポストによって収穫量が増加し、ミニトマトのカリウム含量が有意に向上した。

株式会社メディカル青果物研究所3

ミミズコンポストを使用して、ナス、ピーマン、オクラ、ズッキーニ、トマトの試験栽培を行なった。ミミズコンポストを使用して栽培した野菜の方が、使用していないものに比べて美味しい野菜が出来、根の部分の長さも2倍くらい伸びた。

企業

株式会社メディカル青果物研究所(福島県伊達市)

研究機関

茨城大学農学部
日本原子力研究開発機構

研究開発実施期間

平成25年1月〜平成26年3月

研究概要

福島県内有機農家においては、落ち葉堆肥が放射性物質汚染により使用できない状況であり、放射性セシウムを含まない高品質有機肥料の需要が高まっています。福島県において現在廃棄されている食品残渣は放射性セシウムの混入がなく、貴重な有機資源です。いままで食品残渣の堆肥化技術について熱乾燥などの方法が一般的ですが、電力に依存しない堆肥化技術として、ミミズコンポストに注目が集まっています。本研究開発では、福島県で現在大量廃棄されている食品残渣を有効利用するため、ミミズコンポストによる堆肥化技術を確立します。さらに、ミミズコンポストが低温で堆肥化できることに着目し、エンドファイトなどの植物共生菌の増殖作用を組み合わせて高機能のバイオ堆肥の製造プロセスを開発していきます。

期待される効果

本研究では、ミミズコンポストが低温での堆肥化できるプロセスに注目しています。一般に堆肥化においてはコンポスト漕内の温度が70℃前後で推移するため、植物共生菌などは死滅しますが、ミミズコンポストはミミズが生息できる温度(外気温)で堆肥化するため、植物共生菌の増殖にも適しています。とくに、ミミズコンポストの持つ量的および菌種的に多様な微生物相は病害抵抗性誘導の点でも注目されますが、エンドファイト付与(植物共生菌)によって、植物への有機態窒素の吸収を促す新しい機能性「バイオ堆肥」となることが期待されます。

これまでの研究開発成果

ミミズコンポストに野菜残渣の投入量と、ミミズの生息数および野菜残渣の分解速度から、ミミズの力を生かした最適なコンポスト管理体系を確立しました。また、ミミズコンポストを利用して野菜栽培試験を行っていますが、無処理に比べミミズコンポストの利用により、2.3から3.3倍の収量向上効果が認められています。

参画企業の声(マッチングプランナーの関わり)

ミミズコンポストの漕内環境が悪化しミミズが激減した時など、私共が悩んでいるときは落ち着き励ましになるように支援していただきました。2ケ月後にはミミズが順調に増え、ミミズの増殖環境の管理手法のノウハウを私共は取得できました。また、エンドファイトの効果検証試験について議論していただき、エンドファイトの効果が出てきました。1年3ヶ月間の短期間のプロジェクトですが、目標以上の成果達成に向けたサポートを受けています。
(プロジェクトリーダー (株)メディカル青果物研究所 取締役 田井中俊行)

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