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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

放射線測定等

社会ニーズに応じて多数試料の放射性ストロンチウム-90濃度測定を

環境試料中ストロンチウム-90分析用自動化システムの開発

試薬注入用ロボット

試薬注入用ロボット

ストロンチウム-90分離用アームロボット

ストロンチウム-90分離用アームロボット

企業

株式会社関東技研(茨城県東海村)

研究機関

日本原子力研究開発機構

研究開発実施期間

平成25年1月〜平成27年3月

研究概要

本研究は、環境試料中ストロンチウム-90(90Sr)分析用自動化システムの開発に関するもので、環境試料のうち灰試料(農畜産物及び海水産物)を対象とします。工程Ⅰ:試料の湿式分解、工程Ⅱ:炭酸塩によるストロンチウムの分離、工程Ⅲ:シュウ酸塩による分離、工程Ⅳ:イオン交換による単離に係る工程をそれぞれ自動化することを計画しています。本システムは、約10〜15件/週・台程度の処理件数を目標に研究開発を行なっています。
 これまでに、工程Ⅰ、Ⅱ及びⅢに関して研究を行ってきました。工程Ⅰについては、湿式分解時の加熱操作及び液量のカメラによる監視を自動で行えるように、制御システムを開発し、それを灰試料(農畜産物及び海産物)で検証試験を行ないました。工程Ⅱ、Ⅲについては、ロボットによる分析操作が行えるように、制御システムを開発中です。

期待される効果

経済的効果としては、本自動システムは、1,000万円/台程度の価格での販売を目指しており、日本国内ニーズだけでなく、海外ニーズも期待できます。実際に、発展途上国においても日本からの輸入品中に含まれる放射性Srの分析技術に関する日本からの指導が望まれており、被災地企業がこの装置を製造・販売できれば、被災地に与える経済的効果は大きいです。また、システムの各部については、他の放射性核種の分析あるいは他の環境試料への分析にも適用可能であり、用途は広がることが期待できます。
社会的効果としては、これまでの原発事故に係る環境モニタリングは、放射性セシウムの濃度分布調査が主ですが、同様に放射性Srの濃度調査についても社会のニーズは大きいです。しかし、その分析の煩雑性等から、分析件数は限られているため、社会ニーズに応えることができていません。本システムの開発により多数の試料の放射性ストロンチウム濃度の測定が可能となり、その社会的意義は高いです。

参画機関の声(マッチングプランナーの関わり)

マッチングプランナーには、①研究開発の進捗管理、②研究開発過程における問題解決に係わるアドバイス、③研究開発に係わる情報の提供を、私共に適宜行って頂いています。特に、③の情報提供については、他機関で行われている類似の取り組み等の情報を入手するたびに、私共に問いあわせ、その適用可能性等について積極的に議論・助言をして頂いています。これらのことは、私共の研究開発意欲を維持・亢進させます。
(研究責任者 日本原子力研究開発機構 副主任研究員 藤田博喜)

試料の湿式分解モニターの画面

試料の湿式分解モニターの画面

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