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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

製造

NEW高速加工・長寿命を実現するネジ加工具“装甲タップ”を目指して

多機能・高機能CBN装甲タップの開発

タップとは −ネジを刻む加工工具−

タップとは −ネジを刻む加工工具−

実用上の課題 −工具の短寿命とその要因−

実用上の課題 −工具の短寿命とその要因−

新技術“CBN 装甲” −高速加工・長寿命の実現−

新技術“CBN 装甲” −高速加工・長寿命の実現−

企業

株式会社ミヤギタノイ(宮城県七ヶ宿町)

研究機関

東北大学工学研究科

研究開発実施期間

平成25年1月〜平成27年3月

研究概要

「タップ」とはドリルで開けた穴の内側にネジを刻むための「めネジ加工」工具です。近年、耐久性の高い材料開発が進むと同時に、ネジ加工工具にも高い力学的特性が求められるようになっています。このニーズに対応すべく、硬質被膜処理を施した工具の開発例が報告されていますが、硬質被膜の摩擦係数が低いため長片化した切削粉がタップ溝部で抑制されず噛み込みによる折損や被膜はく離による損傷が生じ、結果として工具寿命が短くなることが実用上の課題となっています。
当該プロジェクトでは、立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒でタップを“装甲”することにより、多機能・高機能なタップの開発を目指しています。CBN粒子が砥粒として作用することにより、従来の硬質被膜では成し得なかった“切削作用”が発現し、加工速度の飛躍的な向上が見込めます。また切削粉の長片化を抑制することにもつながり、タップの折損を防止できることから、工具の長寿命化も期待できます。

期待される効果

被削材との親和性により、加工できる範囲が限られる従来の硬質被膜に対し、CBN粒子は様々な被削材への適用が見込めます。加工時間を要していた材料についても高速処理を実現すると共に工期の短縮化に大きく寄与し、生産コスト、製品コストを大幅に圧縮することに繋がることから自動車・機械製造分野などにおいても注目度の高い技術です。さらにネジ加工工具であるタップのみならずハンドツール、電動工具、大工道具、切削・研削・研磨工具など、多様な展開も期待でき、事業化を目指す同社ならびに地域関連企業に経済的波及効果をもたらし、震災復興に大きく貢献します。

研究開発成果

“装甲”技術を施したタップを用いて、タッピング性能、摩擦・磨耗特性などの解析を行い、数種の被削材にてタップテストを実施しています。装甲タップは、CBN粒子による切削作用により、高速加工条件における切りくずのカール径の減少と、切りくずの短片化が実現され、切りくずの工具への巻きつきを防止することができました。また、工具の寿命向上効果が得られることも確認されており、目標とする製品へ向けて、さらなる研究開発を実施中です。

マッチングプランナーの声

株式会社ミヤギタノイは、高品質で付加価値の高い“オンリーワン製品”の提供を理念とし、様々なニーズに応じた「タップ(雌ねじを作る工具)」と「ダイス(雄ねじを作る工具)」の開発、製造および販売を行っている技術力の高い企業です。東北大学との共同研究により“被災地発”のものづくり基盤技術として、我が国そして世界へと普及し得る大きな可能性を秘めた“グローカル”な製品になると確信し、支援しています。
(担当マッチングプランナー 仙台事務所 磯江準一)

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