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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

環境・社会基盤・その他

NEW抜群の省エネ効果を発揮するリチウムイオン電池充放電検査装置

高効率・高精度・高速Li(リチウムイオン)電池充放電検査装置開発

充放電検査装置の一例

充放電検査装置の一例

シミュレーション結果

シミュレーション結果

製品化:電源 8V5A10ch

製品化:電源 8V5A10ch

実験試作機(AC⇔DCコンバーター)

実験試作機(AC⇔DCコンバーター)

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池

企業

凌和電子株式会社(宮城県仙台市)

研究機関

長岡技術科学大学工学部、千葉大学工学研究科

研究開発実施期間

平成24年10月〜平成27年3月

研究概要

急拡大すると予測される次世代大型リチウムイオン電池市場に向けて、出荷時に評価する電池の検査用として、「高効率・高精度・高速のリチウムイオン電池充放電検査装置」を開発します。
現行装置では充放電試験時に使用される電力量の約半分が、熱として失なわれており、今後、益々その電池の急増や大電流化が進むと見込まれています。しかしながら、エネルギー問題を抱えている日本にとっては、その熱損失は経済的・社会的にも大きな問題になると考えられます。
そこで、本研究では電力変換の高効率化を実現するため、充放電検査装置を構成している各ブロックに、設計思想から再検討を行い(デジタル電源化の開発・根本的回路構成の見直し)、さらに、当社の強みである磁気計測技術を活かして、トランスを含めた磁気回路の高効率化を図ります。同時に、充放電電流の高精度化・検査速度(間隔)の高速化、使い勝手のよい小型化・低コスト化も実現します。

期待される効果

抜群の省エネ効果を発揮できるリチウムイオン電池充放電検査装置が、他社に先駆けて開発できれば、電池の量産工程(充放電検査)において、熱発生が大きく低減されることにより、大幅な省エネ効果が実現できます。さらに本技術がハイブリッドカー(以下HV)や電気自動車(以下EV)用の電池の開発促進にも、また太陽光・風力等の自然エネルギーの電力変換装置にも大きく貢献できるものと期待できます。またHV化やEV化が進展している自動車産業は、東北地方にも集積しつつあるので、本製品を供給することにより、省エネ・コストダウンが進み、被災地の復興に大きく貢献できると期待できます。

研究開発成果

本装置の開発の一部である、電力効率を改善する双方向高効率AC/DCコンバーター(交流⇔直流の変換器)の開発は、シミュレーション技術を用いて、回路設計とソフト設計を行い、試作機を製作し、実験・検証まで進めました。内訳として電池への充電動作は、AC200VからDC5Vへ、逆に放電動作は、DC5VからAC200Vへ(回生)の変換が、スムーズに行える技術を確立する事が出きました。そのAC/DCコンバーター、DC/DCコンバータでの変換効率は、それぞれ90%を超えています。また、回路とソフト技術を応用し、小型で低コストの多チャンネル電源を商品化する事ができました。

マッチングプランナーの声

申請相談時の開発目標は、他社の後追いでした。競合も進歩していく中で、それでは差別化・シェアアップは困難と判断し、同社の強みを活かせ、数年後でも優位に立てる目標は何かを考えてもらいました。その結果、同社の強みである磁気計測技術を活かして、トランスを含めた磁気回路の高効率化を図ることによって、システム(検査装置)として、差別化可能な、極めて高い効率目標(画期的な省エネ効果)を掲げることができました。現在、それに向かって開発を進めています。
(担当マッチングプランナー 仙台事務所 藤田慶一郎)

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