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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

農業・農産加工等

福島逸品「会津地鶏」の発育性改良にゲノム情報を活用します

ゲノム情報を活用した会津地鶏の生産効率の改善と普及展開による地域経済の活性化

肥育農場へ到着した5週齢の「会津地鶏」

肥育農場へ到着した5週齢の「会津地鶏」です。4月上旬で外気温3℃と寒かったため、羽をふくらませて部屋の一部に集まっていますが、餌をついばむ様子が観察されます。

出荷時期が近づいてきた16週齢の「会津地鶏」

出荷時期が近づいてきた16週齢の「会津地鶏」です。オス、メスがはっきりわかるようになり、オスでは喧嘩をしないように部屋を暗くして飼養しています。

親鶏である大型会津地鶏オスとロード種メスとを交配し、「会津地鶏」を生産しています。

親鶏である大型会津地鶏オスとロード種メスとを交配し、「会津地鶏」を生産しています。

企業

株式会社会津地鶏ネット(福島県会津若松市)

研究機関

農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所
福島県農業総合センター

研究開発実施期間

平成24年10月〜平成27年3月

研究概要

福島県ブランド「福島逸品」として認証されている「会津地鶏」は、発育が緩やかであるため、鶏肉となるまでに一般的な鶏の2倍以上の時間を要します。そこで、飼養期間を短縮し、飼料効率(飼料1kgあたりの発育量kg)を向上させるため、発育性の改良に取り組んでいます。「会津地鶏」の発育性は、親鶏の発育性により決定されるため、親鶏の改良に発育性に関連するゲノム情報を活用し、その改良効果を「会津地鶏」で実証しています。
具体的には、発育性関連遺伝子が不良タイプ(発育不良)の親鶏から生まれた改良前「会津地鶏」と優良タイプ(発育良好)の親鶏から生まれた改良型「会津地鶏」の発育性を比較し、飼養期間を従来の17週間から1週間程度短縮することを実証するものです。 親鶏の改良にゲノム情報を活用することで改良効率が向上し、その親鶏から生まれる「会津地鶏」の発育性も改良されることにより、飼養期間の短縮、飼料効率の向上が可能な画期的な生産体系を完成させることを最終目標としています。

期待される効果

東日本大震災および福島第一原発事故による風評被害のため、「会津地鶏」の生産および消費の拠点である会津地方でも観光産業が著しく低迷し、県内消費は大打撃を受けています。「会津地鶏」の発育性向上により、生産効率の向上、生産基盤の強化を図ることが可能となります。具体的には、年間10万羽生産体系を構築した場合、飼養期間の短縮により年間400万円程度の飼料費を節減できると推定されます。さらに会津地方の観光地などで、「会津地鶏」鶏肉を用いた試食品提供などを積極的に行っています。「会津地鶏」をPRすることにより、「会津地鶏」の県内消費拡大が図られ、地域経済の活性化に貢献することが期待されます。

これまでの研究開発成果

平成25年1月に生まれた「会津地鶏」親鶏の発育性関連遺伝子の優良タイプ保有率を61%とすることができました。また、改良前「会津地鶏」の発育性調査を終了し、平均体重は雄で3.0kg、雌で2.4kgとなり、次年度の改良型「会津地鶏」の発育性調査と比較検証するための発育性、飼料効率に関するデーターを収集しました。

参画企業の声(マッチングプランナーの関わり)

本事業への申請においては、担当のマッチングプランナーより、数度の面談を含め、申請内容の精査、被災後の状況変化への対応方法、さらに復興への取り組み方法についてアドバイスを頂きました。採択後は、関係研究機関の訪問・打ち合わせ、企業の現地確認をはじめ、研究進捗状況について詳しく相談し、必要に応じた対応をして貰っています。さらに、本研究で生産された会津地鶏肉加工品を会議などの場で試食提供・宣伝して頂き、消費拡大へも尽力頂いています。
(プロジェクトリーダー (株)会津地鶏ネット 常務取締役 関澤好春)

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