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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

医学・医療等

動いている血管を観察できるハンディな超高解像度診断機

超高解像度超音波プローブの開発

超薄板圧電セラミックス素子

超薄板圧電セラミックス素子

高解像度超音波診断機製品イメージ

高解像度超音波診断機製品イメージ

短冊状の微細切断加工

短冊状の微細切断加工

術中診断のイメージ

術中診断のイメージ

企業

株式会社日本セラテック(宮城県仙台市)
株式会社 オークソニック(埼玉県)
本多電子株式会社(愛知県)

研究機関

東北大学医工学研究科

研究開発実施期間

平成25年1月〜平成27年3月

研究概要

近年、心臓外科や脳外科の分野では術中切開を最低限に抑える低侵襲手術や診断の必要性が求められています。そこで、手術中に動いている血管をリアルタイムで観察可能な操作性の良い超高解像度超音波プローブの開発を行っています。一般に広く普及している超音波診断装置では細い血管の評価には解像度が不十分であり、今回、血管観察可能な空中分解能50μmの高解像度超音波診断機の製作を目指しています。
開発のポイントは、①解像度を上げるための振動子薄板化、②電子走査式のための振動子短冊状微細加工(アレイ化)、③高周波信号の送受信感度向上、④高周波数超音波送受信システムと評価技術、⑤微弱な信号の高解像度画像化技術、であり、東北大学のシーズ技術を基に、セラミックス製造技術、プローブ組み立て技術、超音波診断機技術を持つ共同研究企業が連携して、ハンディで血管に当てるだけの簡便操作の超音波診断装置を実現します。

期待される効果

今回、50MHzのアレイ型高周波数超音波プローブを開発し、約50μmの解像度で測定可能な医療用超音波診断装置に応用することで冠動脈バイパス手術、脳動脈瘤だけでなく、皮膚腫瘍をはじめとする皮膚組織の診断、皮膚アレルギーによる炎症の進行度評価、既存のOCT(光学的干渉断層計)では測定困難な網膜の層単位の測定など、皮膚科、形成外科、眼科領域での臨床応用が可能となります。
血管の術中診断可能なMRIを持ち込んだ「インテリジェント手術室」が極めて高額設備であるためなかなか普及しない中、大掛かりな装置が不要で前述の設備に比べてはるかに安価で操作性の良い超音波診断装置が普及すれば医療設備投資や医療費の軽減に繋がると期待されます。

これまでの研究開発成果

50μm厚さの圧電セラミックス素子で所定の超音波発振を確認し、レーザー加工機による薄板セラミックスの微細切断加工条件の最適化を行いました。また、既存の超音波診断機を用いて高周波送受信対応が可能であることを確認しました。さらに、血管評価のための基礎的データ取得も進めており、超高解像度超音波プローブ製作に必要な各要素技術開発を予定通り進めています。

マッチングプランナーの声

該機器の重要性及び実用化に際し、各共同研究機関の強みが活かせる課題であります。そして、セラミック材料技術、微細加工技術を生かして、東北地域に「医療・福祉機器関連産業分野」を創出する可能性のある課題であります。そこで申請書の内容を、目指す製品の優位性はもちろん、上記の点をより強調するよう改善しました。また、進捗管理を、多くの時間を掛けず出来る手法を取り入れて、4機関がコミュニケーション及び連携良く取り組んでいます。
(担当マッチングプランナー 仙台事務所 原田省三)

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