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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

医学・医療等

医療に役立つ多孔質材料の安定供給をめざして

医療用多孔質材料の製造装置システムの開発

氷微粒子を用いて作製したコラーゲンスポンジの電子顕微鏡写真

氷微粒子を用いて作製したコラーゲンスポンジの電子顕微鏡写真

空孔の鋳型に用いる氷微粒子の写真

空孔の鋳型に用いる氷微粒子の写真

医療用多孔質材料製造システムのイメージ

医療用多孔質材料製造システムのイメージ

企業

株式会社アート科学(茨城県東海村)

研究機関

物質・材料研究機構

研究開発実施期間

平成24年10月〜平成27年3月

研究概要

コラーゲンやゼラチンなどからなる医療用多孔質材料は、細胞から組織が形成されるのを促進することから、医療用材料の研究開発用試験サンプル、動物実験代替用材料、および臨床用材料として期待されています。しかしながら、多孔質材料の安定供給、また製造過程における外部からの汚染物の混入防止という課題が残されています。そこで本研究開発では、医療用多孔質材料の製造工程の装置システム化を実現します。本研究開発のシーズとして、大きさを制御した氷微粒子を空孔の鋳型に用い、空孔サイズを自在に制御できる多孔質作製技術を活用します。本シーズの装置システム化によって、多孔質材料の原料を投入するだけで、医療用多孔質材料を安定して製造することが可能となります。現在、氷微粒子と原料溶液の混合、多孔質化など各工程装置ユニットの開発を進めており、次の段階としてこれらのユニット間を密閉可能なチャンバーで連結した装置システムをめざしています。

期待される効果

大量生産のための多孔質材料製造装置システムを作製・販売すれば、空孔サイズを制御した多孔質材料をより多くの医学・生物学研究者に提供できるようになります。その結果、これらの多孔質材料の生物学的性状に関する理解が進み、損傷組織の治癒促進材料など用途が拓ける可能性があります。本装置システムの需要が拡大すれば、 被災地企業の(株)アート科学の業務が原子力関連分野から医療器械・材料関連分野に拡大し、研究支援業務の市場が広がります。同社が行ってきた原子力関連分野での実験装置の設計・製作が地域の中小企業の得意技術を集約する連携によって実施されていることに鑑みれば、被災地の地域中小企業の売上増、雇用増につながることが期待できます。

参画企業の声(マッチングプランナーの関わり)

医薬品の研究開発およびライフサイエンス全般に豊富な経験をもつマッチングプランナーに、プロジェクトの進め方に関して適時サポートを受けています。将来的には医療用途への展開を視野に入れているため、当該分野での長年の経験にもとづくマッチングプランナーのサポートは不可欠です。限られた期間で最大限の成果を上げるため、研究開発対象の絞り込みと開発フェーズに応じた課題設定に関して、マッチングプランナーと私共の間で詳細かつ具体的な打ち合わせを行ってきました。万全のサポートによってプロジェクトは計画通りに進捗しています。
(プロジェクトリーダー (株)アート科学 取締役 長谷川良雄)

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