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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

製造

磁性材料の高周波特性を切出さず直接評価 ウェハ生産効率向上へ

インラインで大口径ウエハを測定可能な高周波磁性薄膜評価装置の開発

スマートフォン、タブレット

スマートフォン、タブレット

車載部品

車載部品

高周波磁性薄膜評価装置(プロトタイプ)

高周波磁性薄膜評価装置(プロトタイプ)

新開発のプローブ

新開発のプローブ

企業

株式会社東栄科学産業(宮城県名取市)

研究機関

東北学院大学工学部

研究開発実施期間

平成24年10月〜平成27年3月

研究概要

ハードディスクやスマートフォン・タブレット、車載部品、医療分野など様々な場所で磁気製品が利用されています。センサー、記録媒体、メモリ等、用途は多種多様で今後益々の活用が注目されており、測定技術、測定装置においても技術革新が求められています。
これら磁気製品の品質管理の一つとして材料レベルから製品に至るまで各過程で特性評価する必要があります。本研究は、磁気製品に使用される磁性材料の製造過程における高周波磁気特性をインライン(非破壊)で測定可能な装置を開発する事を目的としています。
従来の評価装置は製造プロセスの途中でウェハ状に成膜した磁性薄膜を直接評価する事は困難であり、評価用サンプルとしてウェハから小片に切出して測定する破壊検査でした。このため、非破壊での評価手法が求められていると共に、磁気デバイスの小型化・薄型化及び動作周波数の高周波化が進み、極薄膜・高周波磁性膜の評価も求められています。
これらの技術課題を解決する為、大口径ウェハの非破壊評価、20GHz以上の高周波評価、2〜3nm厚の極薄膜評価が可能であるという3つの特徴を有するプロトタイプの開発を行います。新開発のプローブを測定対象の磁性薄膜に近接して測定する方式を採用し、測定ウェハを非破壊で測定可能であることが最大のメリットであります。同社の非磁性プローバ(位置決めコンタクト)技術および局所磁場印加技術を融合する事で大口径ウェハの全面分布測定を可能とします。

期待される効果

本課題の技術により磁気ヘッドや磁気センサーに用いる磁性材料、あるいはアンテナや電磁シールド用磁性材料等のプロセス途中における高周波磁気特性をインラインで評価可能となります。評価用に特別なサンプルを作成する必要がなく、製品となるウェハ自体を評価して後工程にまわすことが可能であることから、製造工数の大幅な削減が可能であり、磁性材料および磁気デバイスの製造メーカの製造ラインへ設備として導入することで生産性向上への寄与が期待できます。

研究開発成果

従来の評価方法ではウェハ状態のまま直接評価することはできなかったのに対し、ウェハのまま(非破壊で)磁性薄膜の高周波特性を評価する事が可能になります。また、従来は測定周波数が10GHz程度までが評価限界であったのに対し、本研究では現時点で20GHz以上までの高周波評価を実現しています。尚、課題目標としたプロトタイプ試作とプレス発表およびセミコンジャパン2013出展を実施しており、今後の課題として2〜3nm厚の極薄膜評価の確立と自動化や使勝手等の商品化に向けた開発に取り組んでいきます。

マッチングプランナーの声

私は、企業での永年の実用化(商品化)開発において、『工業用製品といえども、商品として購入してくれるかどうかの鍵は、性能と共に、“使い勝手”にある』ことを幾度も経験してきました。本課題の”計測機器“は、特にその傾向が強いと捉え、技術開発課題に織り込んでもらうと同時に、早期に試作機を製作・展示することを勧めた結果、“使い勝手”についての評価や要望が得られ研究開発に活かすことが出来ました。
(担当マッチングプランナー 仙台事務所 藤田慶一郎)

磁性薄膜測定データ例

磁性薄膜測定データ例

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