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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

製造

インジウムを用いない環境に優しい透明導電膜合成装置開発

高機能ZnO透明導電膜のプラズマ合成装置の開発

酸素混合プラズマ源低気圧放電で、酸素プラズマは黄色を呈する

酸素混合プラズマ源低気圧放電で、酸素プラズマは黄色を呈する

O2プラズマ中でのZn蒸発の様子低気圧放電で,Zn蒸気が励起され、ピンク色を呈する

O2プラズマ中でのZn蒸発の様子低気圧放電で,Zn蒸気が励起され、ピンク色を呈する

ZnO透明導電膜[赤実線,(a)]と既製品ITO[黒点線,(b)]の光透過特性と同時撮影写真.波長1200〜1700nmの近赤外透過特性が、ほぼ同等のシート抵抗ITOより優れている

ZnO透明導電膜[赤実線,(a)]と既製品ITO[黒点線,(b)]の光透過特性と同時撮影写真.波長1200〜1700nmの近赤外透過特性が、ほぼ同等のシート抵抗ITOより優れている

企業

株式会社ビームトロン(茨城県城里町)

研究機関

茨城大学大学院理工学研究科

研究開発実施期間

平成25年1月〜平成27年3月

研究概要

太陽電池における発電やLED発光の効率改善には広範囲の透過が可能な透明導電膜の開発が必要であり、一般にはスズドープ酸化インジウム(ITO)膜が使用されていますが、赤外光の透過に課題を残し、インジウムの枯渇や毒性も危惧される中で、豊富な資源から合成され近赤外光に対し高い透明度をもつ酸化亜鉛(ZnO)系の膜が注目されてきており、量産・拡張性に優れるマルチプラズマプレーティング法により安価で品質の良い透明導電膜を合成できる装置を開発します。
装置開発にあたっては亜鉛−酸素混合プラズマ源の改良、膜特性と混合プラズマ特性の相関からZnO膜合成条件の把握、異なる真空容器で同じ特性の混合プラズマを生成して同等のZnO膜を合成した後、これら混合プラズマ源を並べて成膜領域の拡張を図り、55mm×55mm基板に均一な透明導電膜の合成を実現します。

期待される効果

太陽電池、LED、タッチパネル等の部材である透明導電膜はエネルギー・環境・情報分野の基盤的な材料でその約90%がITO薄膜と言われており、その80%以上を日本で生産しています。今後も透明導電膜の需要増加が見込まれている中で、資源枯渇の心配がなく、環境負荷に優しく安価で応用分野のより広いZnO系膜への切り替えが予想されているため、被災地域の製造関連企業にも本装置を提案できることは復興への足掛かりとなるものと期待しています。
そして、ITO代替材料として赤外透過の高性能な透明導電膜だけではなく、太陽電池やLED用の透明電極形成に応用できれば起電力や発光変換効率の向上が見込めます。

マッチングプランナーの声

(株)ビームトロンは中小企業でも得意技術を補完しあえば大きな仕事もできるとの意欲を持つ開発型企業です。保有する真空技術をベースにした装置開発を自社製品の柱に育てたいとの相談があったため、被災地域製造業に貢献できるスキーム作りを提案し、実施しています。技術開発を真摯に取り組む企業でもあり、資源枯渇の心配のない製品の実現を期待しています。
(担当マッチングプランナー 郡山事務所 鴨志田敏行)

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