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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

医学・医療等

高性能チタン製バリアメンブレン量産で歯の再生に貢献

ロール・ツウ・ロール方式転写による骨再生用バリアメンブレンの加工法開発

上図(左)のように溶出した歯槽骨分のスペースにチタン製バリアメンブレンを施術。

上図(左)のように溶出した歯槽骨分のスペースにチタン製バリアメンブレンを施術。4月から5か月後、上図(右)のごとく歯槽骨が回復する。

作製したチタン製バリアメンブレン

作製したチタン製バリアメンブレン

ロール穴開け装置

ロール穴開け装置

企業

新世代加工システム株式会社(埼玉県)

研究機関

東京理科大学基礎工学部

研究開発実施期間

平成25年1月〜平成26年3月

研究概要

日本人の成人の8割が歯周病と言われている中で、対策として歯槽骨を再生するGTR法(組織再生誘導法guided tissue regeneration)があり、バリアメンブレンが使われています。現状、バリアメンブレンはPTFE膜が使われていましたが、欠点があり、大手の製品は販売中止となりました。そこで極薄のチタン製バリアメンブレンを開発。レーザー加工が検討されました。しかしコスト高で普及に問題があり、改善策として今回の開発につながりました。本研究は、生産性が良いRTR加工方式でチタン製バリアメンブレンを開発します。
バリアメンブレンとは、マイクロオーダーの穴が開いた薄膜のことです。チタンは生体適合性などの面で優れていますが、硬い材料のため加工が難しいです。そこで、本開発では穴開け用金型の上にチタンを乗せ、ロールにより加圧し穴開けする方法を確立しました。これにより、高性能チタン製バリアメンブレン量産で歯の再生に貢献できると考えられます。

期待される効果

1. 経済的貢献
経済的なところは、レーザー加工より安い方法としてプレス加工がありますが、薄膜のため金型からメンブレンを取り外すときにやぶれることが多いです。それに対してロールは転写終了後、金型から離れているので、歩留まりが向上して生産性もよく、価格も下がります。高性能チタン製バリアメンブレン量産の拠点は福島県会津若松市であり、地域コミュニティにも雇用確保ということで貢献できると考えています。
2. 社会的貢献
日本は高齢化社会が到来していますが、保健医療が破たんをきたしている中、この技術で歯周病対策が可能となれば保険医療費の削減にもなり、また、高齢者の安心、安全な生活環境を築くことにもなり大いに社会貢献に寄与すると考えます。

これまでの研究開発成果

穴開け用金型の上にチタンを乗せ、ロールにより加圧し穴開けするロール方式で、50mm角のチタン箔に、均一でエラーも少なくマイクロオーダーの穴を連続して開けることに成功しました。これにより、高性能チタン製バリアメンブレン量産の目処が立ちました。

参画企業の声(マッチングプランナーの関わり)

福島工場の設置(電気工事、実験室工事)にあたってはマッチングプランナーから地元の業者を紹介していただき安価に実現できた。研究開発段階においては、穴あけ後のチタンのカール(そり)などに対して有効なアドバイスを頂いた。その一つとしてカールしている方向とは逆に巻き取り、固定して熱処理をかけるとそりは解消傾向にあった。他に、そり品をレベラーにかける方法論とメーカさんの紹介をしていただき、レベラー実験ができた。そりに対しての効果は認められた。大いに参考となった。マッチングプランナーの適切なるサポートに対し大いに感謝しております。
(プロジェクトリーダー 新世代加工システム(株) 取締役 技術統括本部 本部長 吉川 研一)

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