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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

農業・農産加工等

長く保存しても風味が維持される生麺

低酸素気流を利用した粉体殺菌の研究及び連続式殺菌装置の開発

そば粉:「生そば」

そば粉:「生そば」

米粉(+物性調整剤):「トッポギ」

米粉(+物性調整剤):「トッポギ」

小麦粉+米粉:「ひっつみ」

小麦粉+米粉:「ひっつみ」

企業

株式会社川喜(岩手県釜石市)

研究機関

岩手大学農学部

研究開発実施期間

平成24年10月〜平成27年3月

研究概要

そばやうどんなどの生麺は風味やコシがあり美味しいのですが、原料粉には生菌が多いために賞味期限が短いので、製麺業者は生麺を高温蒸気殺菌の上エタノールを添加して販売しています。しかし、アルコール臭があり麺本来の風味が損なわれています。他に、茹麺や乾麺にして販売していますが同様に本来の風味が損なわれています。
本研究開発では、伝熱工学や計算流体力学を駆使して粉体表面を短時間で加熱処理する「低酸素気流を利用した粉体用連続式殺菌装置」を開発しで殺菌した粉体食品素材を使用することにより、そば等の生麺製品の風味を保ったまま賞味期限を延ばすことを狙っています。また、多加水真空混練り技術を導入して、新食感の生麺の開発を行っています。
今までに、大気気流を利用したプロトタイプ機にてそば粉の風味を損なわず、殺菌効果があることを確認しています。

期待される効果

生麺だけでも年間40〜50億円の国内市場があり、生麺製造・販売会社の販売期間が長くなり、「賞味期限切れ製品の廃棄」が減少し利益拡大に貢献すると共に、三陸沿岸地域の中小製麺企業が首都圏始め全国への販売や麺ニーズが高まっている国々へ輸出ができるようになります。また、そばの需要が増えることにより、遊休耕地のソバ畑転換による雇用創出ができます。
これらにより、東日本大震災からの復興へ食品製造分野から貢献できます。
なお、殺菌装置は約100〜150億円の国内需要と思われ、この分野でも貢献できます。

マッチングプランナーの声

本案件は、粉体殺菌装置の開発とその粉体を使用した賞味期限の長い食品と新食感の食品の開発です。このため、岩手大学のコーディネーターと共同で農学部の粉体殺菌方法と工学部の粉体殺菌システム技術の協力を働きかけました。その結果、装置の設計ができあがるとともに、製粉装置メーカーも探し出すことができ、プロト機を製作できました。プロト機による殺菌そば粉を使ってそばの賞味期限の試験を行っています。
(担当マッチングプランナー 盛岡事務所 藤澤立見)

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