JSTトップ > JST復興促進センター > 取り組み・成果 > 放射線測定等 > 和牛体内のセシウム濃度を生きたまま正確に測定

取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

放射線測定等

和牛体内のセシウム濃度を生きたまま正確に測定

繁殖和牛生体から「と体」筋肉中放射性セシウム濃度を推定する技術の開発

企業

株式会社コムテックエンジニアリング(福島県いわき市)
株式会社日本環境調査研究所(福島県いわき市)
株式会社ラド・ソリューションズ(宮城県仙台市)

研究機関

福島県農業総合センター・畜産研究所
福島大学共生システム理工学類
東北大学電子光理学研究センター

研究開発実施期間

平成24年10月〜平成25年3月

研究概要

原発事故による放射性セシウム汚染の拡大により、汚染飼料を食べた牛の牛肉から放射性セシウムが検出され、風評被害に苦しんでいます。牛から採血し、それを分析する方法、あるいは「と殺」牛肉をGe半導体検出器で時間をかけて測定する方法が行なわれています。しかし「と殺」する前に、牛肉中のセシウム濃度を正確に測定できれば、基準以上のセシウム濃度を示す牛肉の市場への供給を防ぐことが可能となります。事情によっては、清浄飼料で更に一定期間、育牛することで、体内のセシウムを排出させ、牛肉中のセシウム濃度を低減させることも可能となります。それを実現するため、農家の庭先へ測定装置を運搬し、その場で正確に測定できる装置を開発しました。

期待される効果

即時に現場で非破壊的に測定可能となり、市場に流通しない(牛肉とならない)無駄な「と殺」を減らすことが出来きます(動物愛護の観点からも重要)。清浄飼料での育牛により、牛肉中のセシウム濃度を下げることも可能となります。

研究開発成果

肉牛の巨体を測定する、ホールボディーカウンターのプロトタイプ品が完成し、牛が測定中もおとなしくするような工夫(例;保定枠、牛用ハミなど)も随所になされています。1頭の測定に要する時間は約5分となっています。

マッチングプランナーの声

誰もが経験したことのない放射能汚染に直面し、福島県畜産農家の苦しみを聞いていた中、本課題に係わる相談が寄せられ、二つ返事で支援を引き受けました。短期間の開発であり、各機関の協力が不可欠であり、研究期間終了間際に、実証試験で開発技術の有効性が確認された際は、関係者一同、満足感に包まれました。
(担当マッチングプランナー 郡山事務所 渡邉博佐)

取り組み・成果