タッチパネルの新展開
山形大学の銀ナノ微粒子の特徴
グラビアオフセット印刷原理と実際の配線印刷パターン
グラビアオフセット印刷によるタッチセンサー額縁配線検討サンプル
アルプス電気株式会社(宮城県仙台市)
山形大学理学部
平成24年10月〜平成27年3月
次世代のタッチパネルに望まれる形状自由化(曲面化)が可能な技術を開発し、その製品化に繋げます。
多くの携帯端末機器に装着されているタッチパネルは、透明電極材料や金属配線材料の低導電性・脆性等の問題があり 曲面化(3D化)が困難なため、フラット構造が基本です。現在 携帯端末市場に限られている製品展開が、形状の自由化により、AV家電市場や車載市場へ広まる余地があります。
本研究では、フレキシブル性の高いフィルムを基板に現行のフレキシブル性のないITO(インジウム・錫を含む透明酸化物)に代わり、新透明導電材料によるパターニングを進め、さらに額縁金属配線は 山形大学が開発した室温〜100℃で焼成可能な銀ナノ微粒子を基にインクを作製し、印刷では前例のない L/S(ライン/スペース)=30/30μmを印刷法にて直接形成することを目指します。
開発中の技術は、今後タッチパネルが向かうであろうフレキシブル/3D化に貢献するものです。真空成膜-フォトリソエッチング法でしか対応できない高性能タッチパネルセンサーが印刷・塗布技術で作製できるため、コスト的にも優位になります。タッチパネルの開発競争は世界的に益々厳しくなりますが、低価格・高性能な製品を市場投入できれば、市場シェアアップがさらに期待できます。このことは、生産量増加に伴う 被災地での雇用促進に繋がり、サプライチェーンを通じた地元企業への復興促進にも役立つものと期待されます。
開発中の固有技術および達成度は、以下のとおりです。
現在、上記固有技術を用いてセンサーを形成し、2.5D/3D形状成型品を試作中です。
企業での永年の開発において、「ここぞという時は、一体化集中して進めないとブレークスルーできない」ことを幾度も経験してきました。今回の銀インクの開発は、基礎は大学、応用は企業と役割分担して進めましたが、壁にぶち当たり、先が見えなくなりました。そこで、企業の担当者を大学に目処がつくまで派遣し、一緒に実験を行うことを強く勧め、実行した結果、“セレンディピティ的発見”が生まれ、壁を打ち破る目処をつけることができました。
(担当マッチングプランナー 仙台事務所 藤田慶一郎)