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取り組み・成果

最終更新日:平成26年3月31日

製造

大線量放射線を発生する冷陰極式X線管の開発

産業用X線照射装置の大線量冷陰極X線管の開発

リングエミッター(成膜前後)

リングエミッター(成膜前後)

CVD成膜装置

CVD成膜装置

試験用X線放射装置

試験用X線放射装置

企業

株式会社ピュアロンジャパン(福島県いわき市)

研究機関

産業技術総合研究所

研究開発実施期間

平成24年10月〜平成27年3月

研究概要

ライフサイエンスやバイオテクノロジー分野では放射線照射効果を調べるために医療用のX線管を転用したX線照射装置が使用されていますが、これは放射線照射におけるX線照射用途に適したものではなく、多くの問題点を抱えています。このため、電子放射特性に優れたカーボンナノ構造体を用いて、予熱無しで簡便に動作することができ、大面積(照射範囲が大)かつ大線量照射、長寿命など、従来のX線管を超える性能を持つ、ローコストな放射線照射装置用X線管を開発することを目ざしています。
製品化にあたってはナノカーボン陰極の高品質なCVD成膜化を図るCVD成膜装置の電極構造の改良および電源パワー向上、従来の熱陰極式X線管より2倍以上長く使えることを目ざしての長寿命リング状電子源の開発、それを用いたX線管およびX線源の開発設計および性能評価手法の確立を図ることにしています。

期待される効果

従来品は消費電力が大きく、それらを使用したX線装置自体も大型であったが、本開発品は面照射であるため、小型軽量・低消費電力化され、大線量照射が簡単で操作性も良くなって低コストでの利用ができ、ライフサイエンスやバイオテクノロジー分野に加えて理化学分野全般などの更なる発展が期待されます。
また、放射線照射には放射性物質を使用する場合もありますが、それらの残留等があって取り扱いが難しいものがあります。大線量冷陰極式X線管の利用により残留放射能の心配がなく、環境に優しく使用できます。

マッチングプランナーの声

(株)ピュアロンジャパンは技術開発に取り組む姿勢の強い企業で、自社製品開発による新規分野開拓を目指しています。同社の得意技術である流体コントロール技術を活かした新規なX線管開発に関心を持ち、本事業への申請を支援し、研究計画立案に協力しました。早期に生体への放射線被ばく影響調査に活用してもらいたいと期待しています。
(担当マッチングプランナー 郡山事務所 鴨志田敏行)

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