「共通基盤」領域 本格研究

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低侵襲ハイスループット光濃縮システムの開発

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重点公募テーマ:「革新的な知や製品を創出する共通基盤システム・装置の実現」
研究開発代表者: 飯田 琢也(大阪府立大学 大学院理学系研究科/LAC-SYS研究所 教授/所長)
研究開発期間: 2021年6月~(探索研究 2018年11月~2021年5月)
グラント番号: JPMJMI21G1
研究概要低侵襲ハイスループット光濃縮システムの開発(PDF:498KB)

 日本人の2人に1人が生涯でがんになるといわれています。この状況に対応するため、オンコロジー領域注1)ではがん患者の病態を正確に把握し、治療計画などに反映させる精密医療への流れが加速しており、治療薬開発とともに微量のバイオマーカーを検出する優れた検査方法の開発の重要性が高まっています。

 しかし、従来、極めて微量な生体物質を測定するためには、超遠心による分離や磁気・抗体を用いた精製や洗浄など、対象となる生体物質の濃縮や選択的収集に多工程と長時間が必要で、特に費用や効率の点で大きな問題がありました。

 そこで、本研究開発課題では、バイオマーカーとして用いられるたんぱく質、遺伝子などの生体物質にダメージを与えずに、光を使って生体物質を高濃縮し反応加速させる「光濃縮」を用いて、光濃縮下での分子間相互作用のメカニズムの解明を進めます。さらに探索研究で実証した、光で発生する圧力と、光で発生する熱による対流の相乗効果を最大限に発現する、光応答性材料を含むシステムの開発を行います。これらにより、迅速・高感度・簡便に微量のバイオマーカーを検出する革新的な検査法を実現します。

 具体的に、本格研究では、医療への応用例としてリキッドバイオプシー注2)に適用し、「ELISA法注3)などの100マイクロリットル以上のサンプル量を必要とする従来検量法に対してわずか数マイクロリットルの検体量で、検出感度および速度について100倍もの向上を目指します。これにより、従来は十分な解析技術を持った研究室でしか扱えなかったピコグラムからフェムトグラムという極めて低濃度の重要な生体マーカーの検出と臨床現場での検出を可能とします。

 本研究により、困難であったがんの早期診断・早期治療が可能になるとともに、期待が高まる精密医療への貢献も大きく期待できます。さらに、「光濃縮」技術の適用先は医療に留まらず、食品検査(食中毒菌、ウイルス検査)、環境計測(環境DNA・RNA、マイクロプラスチック)まで、広い産業分野への展開が可能です。本技術を展開することで、従来、専用の施設で実施されていた医療・食品・環境計測が、簡単な装置を用いてどこでも実施可能になり、高齢者から乳幼児まであらゆる世代の人々が、安全な食の確保、がんや感染症(新型コロナなど)、認知症などに苦しまない健康長寿社会の実現に貢献します。

注1) オンコロジー領域
がんやがん細胞の発生のメカニズムや治療方法について専門的に学ぶ学問のこと。
注2) リキッドバイオプシー
血液などの体液の採取によって、がん組織からの直接採取(バイオプシー)に匹敵する、あるいはそれを上回る情報を得る新技術の総称。
注3) ELISA法(Enzyme‐Linked Immunosorbent Assay)
試料溶液中に含まれるがんマーカーなどのターゲット物質と選択的に結合する抗体などを用いて高感度で検出する方法。



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図 光濃縮に基づく医療・食品・環境計測インフラ基盤の提供による健康長寿社会の実現

研究開発実施体制

愛知県がんセンター、大阪大学、早稲田大学、岡山大学

プロジェクトHP

http://www.p.s.osakafu-u.ac.jp/~t-iida/LAC-SYS/

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