大阪公立大学,科学技術振興機構(JST)

令和5年7月12日

大阪公立大学
科学技術振興機構(JST)

超遠心分離を省略し、3時間半の検出時間を5分に短縮

光の力でがん細胞由来ナノ粒子の効率的な検出に成功

ポイント

大阪公立大学 研究推進機構 協創研究センター LAC-SYS研究所の飯田 琢也 所長、床波 志保 副所長、中瀬 生彦 所長補佐ら研究チームの藤原 佳奈 氏(2023年3月 大阪府立大学 大学院理学系研究科 博士前期課程修了)と高木 裕美子 研究員らは、がん細胞由来のナノ粒子である細胞外小胞(エクソソーム、エクトソームなど)と抗体修飾ビーズの反応をレーザー光照射下で生じる光の力で加速。得られた集積体の立体構造を、共焦点光学システムを利用して解析しました。その結果、わずか500ナノリットルのサンプル中に含まれる約1000個~1万個のナノサイズ細胞外小胞(従来法の4000分の1に相当)を5分以内に計測できることを実証しました(従来法は数時間必要)。

今回の研究では大腸がん細胞と肺がん細胞から分泌されたナノサイズ細胞外小胞を計測し、数時間の複雑な工程を要する超遠心分離工程を省略できる可能性も示しました。この成果は、がんを含むさまざまな疾病のマーカーとして期待されている細胞外小胞のハイスループット計測につながるものであり、超早期診断における全く新しい基盤技術を提供するものです。

本研究成果は、2023年7月12日(水)(日本時間)、「Nanoscale Horizons」にオンライン掲載される予定で、さらに同誌のOutside Front Coverにも採用されました(2023年7月24日発行の「issue8」に掲載予定)。

本研究はJST 未来社会創造事業「低侵襲ハイスループット光濃縮システムの開発(JPMJMI18GA、JPMJMI21G1)」(研究開発代表者:飯田 琢也)、JST 創発的研究支援事業「バイオミメティック電極による外場誘導型エコシステムの創成(JPMJFR201O)」(研究代表者:床波 志保)、科研費基盤研究(A)(17H00856、21H04964)(研究代表者:飯田 琢也)、大阪府立大学キープロジェクト(「LAC-SYSプロジェクト ―次世代バイオフォトニクスが拓く未来―」)などの支援の下で実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Ultrafast Sensitivity-Controlled and Specific Detection of Extracellular Vesicles Using Optical Force with Antibody-modified Microparticles in a Microflow System”
DOI:10.1039/d2nh00576j

<お問い合わせ先>

(英文)“Ultrafast sensitivity-controlled and specific detection of extracellular vesicles using optical force with antibody-modified microparticles in a microflow system”

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