2021年9月10日開設
2021年10月21日更新
2022年2月25日更新
2022年4月18日更新
我が国では「科学技術・イノベーション基本法」が令和3年度より施行され、人文・社会科学の役割の重要性がより一層増すとともに、「第6期科学技術・イノベーション基本計画」においても、社会問題の解決や科学技術・イノベーションによる新たな価値を創造するために、社会的価値を生み出す人文・社会科学の「知」と自然科学の「知」の融合による「総合知」を用いた取組の重要性が指摘されています。
RISTEXは、設立以来「社会のなかの科学・社会のための科学」の理念の下、「社会技術」を「自然科学と人文・社会科学の複数領域の知見を統合して新たな社会システムを構築していくための技術」と捉え、社会の具体的な問題の解決や科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への対応に資する社会技術の研究開発を進めてきました。研究開発を推進するにあたり、研究者と社会の問題解決に取り組む「関与者」(ステークホルダー)が協働するためのネットワーク構築を支援し、学問知だけでなく現場知も活用した研究開発に取り組んでいます。
今後も引き続き、複数の学問知の活用、アカデミアと現場の協働、セクター横断の取組など、「総合知」活用のあり方について俯瞰的な検討を行いながら、社会課題の解決に資する研究開発を推進してまいります。
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「総合知」活用による研究開発事例 |
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- 養育者支援によって子どもの虐待を低減するシステムの構築
(自然科学×人文・社会科学×自治体・医療・児相・NPOなど) - 発達障害者の特性別評価法(MSPA)の医療・教育・社会現場への普及と活用
(学術知×病院・学校・保育) - 分散型水管理を通した、風かおり、緑かがやく、あまみず社会の構築
(自然科学×人文・社会科学×多世代の地域住民・団体) - 人工知能と人間が支え合って暮らすための新たな社会システムの考案
(自然科学×人文・社会科学) - 感染症対策における数理モデルを活用した政策形成プロセスの実現
(学術知×医療現場・自治体・公衆衛生政策) - 津波災害総合シナリオ・シミュレータを活用した津波防災啓発活動の全国拠点整備
(自然科学×人文・社会科学×自治体・教育委員会・小中学校)
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「総合知」活用に向けた領域・プログラムの設計事例 |
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- SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(シナリオ創出フェーズ、ソリューション創出フェーズ)
(「研究者」×地域で課題解決にあたる「協働実施者」による共同提案) - 科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム
(「研究者」×政策課題を抱える「政策形成者」の連携・協働) - SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)
(学術的研究×予防施策を講じる実際の現場での実証と施策化の一体的推進) - 科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム
(自然科学の研究者×人文・社会科学の研究者×社会の多様なステークホルダーが協働したELSI対応を実践)
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社会技術-RISTEX 20年のあゆみ |
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関連リンク
- 社会課題解決型調査研究、ELSIやEBPMをより正しく理解するために
(文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)『STI Horizon』Vol.7, No.2、2021年6月)
社会技術研究開発センター(RISTEX)センター長 小林 傳司 インタビュー - 自然科学系研究者のためのELSI解説
研究開発戦略センター(2021年6月): CRDS-FY2021-XR-02 - 日本語仮訳: トランスディシプリナリー研究(学際共創研究)の活用による社会的課題解決の取組み
(経済協力開発機構(OECD)科学技術イノベーションポリシーペーパー(88号)、2020年6月)
研究開発戦略センターによる日本語仮訳(2020年10月):CRDS-FY2020-XR-01 - 『社会実装の手引き -研究開発成果を社会に届ける仕掛け-』
(JST-RISTEX [研究開発成果実装支援プログラム] 編、工作舎、2019年6月)
RISTEX研究開発成果実装支援プログラムにおいて「こども」「安全・安心」「高齢者・弱者支援」「環境」などのカテゴリーで課題解決に取り組んだ48のプロジェクトの実例をベースに社会実装の経験とノウハウを紹介 - 「科学技術と人間」領域成果報告書: 関与者の拡大と専門家の新たな役割 ~科学技術と社会の相互作用~
社会技術研究開発センター(RISTEX)(2013年3月)