食肉培養に関する取り組み(未来社会創造事業との連携)
背景
地球の人口の爆発的な増加や気候変動の影響などによって、2030年頃には世界の食料需給は逼迫すると指摘されています。とくに、新興国などの肉食の需要が増え、肉の生産が追いつかなくなる恐れがあります。その解決策のひとつとして、家畜動物の細胞を抽出して培養し人工食肉(培養肉)を製造する新興技術が注目されており、世界中で研究開発が進められています。日本では、平成30年度にJST未来社会創造事業で初めて公的資金のファンディングを開始しました。
培養肉は、環境問題や動物の福祉、衛生・栄養、食文化の面でもまったく新しい食の革新を起こすのではないか、と言われています。一方で、これまでにはない「モノ」であるからこそ、技術開発とともに、法制度、安全・安心、社会受容、食と農に関する倫理など、社会として解決しなければならない課題も多くあります。
活動内容
JST未来社会創造事業(「持続可能な社会の実現」領域)「将来の環境変化に対応する革新的な食料生産技術の創出」と連携し、食肉培養技術に関する国内外の研究・技術・産業の動向や、法規制・認証制度、環境影響、動物福祉・愛護、食の安全・安心、社会受容性などに関わる情報収集を行い、日本社会の食経験や文化に根差したELSIの論点を抽出する調査活動を行いました。
また、知的財産活動支援、科学技術コミュニケーション、ステークホルダーとの共創の場づくりなどを担うJST内の各部署とも連携し、市民対話フォーラムや国際シンポジウムの開催を通じて、研究者のみならず、さまざまなステークホルダーとの対話と情報発信を行いました。