沿革と変遷

~ RISTEX 設立まで~

 1999 年 6 月に、ハンガリー・ブダペストで開催された『世界科学会議』(国際連合教育科学文化機関〈UNESCO〉・国際科学会議〈ICSU〉共催 ) において、世界中の科学者や政府関係者、ジャーナリストなどが一堂に会し、21世紀の科学技術のあり方について「科学と科学的知識の利用に関する世界宣言」(ブダペスト宣言)が発表されました。この宣言では、これからの科学技術は知識の生産だけでなく、「どう使うのか」に軸足を広げ、「知識のための科学」に加えて、「平和のための科学」「開発のための科学」「社会のなかの科学・社会のための科学」という 3 つの理念が新たに掲げられました。
 このような背景のもと、2000 年 4 月、当時の科学技術庁は「社会技術の研究開発の進め方に関する研究会」(座長:吉川弘之・日本学術会議会長<当時>)を設け、「社会の問題の解決を目指す技術」、「自然科学と人文・社会科学との融合による技術」、「市場メカニズムが作用しにくい技術」の 3 つを「社会技術」として推進していくべきとの意見をまとめました。
 RISTEX の前身である「社会技術研究システム※」は、この社会技術の研究開発を進める専門組織として 2001年 7月に設置され、2005 年に現在の組織・名称に改組されました。

 ※「社会技術研究システム」では、①ミッション・プログラム、②公募型プログラム、③社会技術研究フォーラム、の3つを活動の大きな柱として実施。

 なお、ブダペスト宣言から 20 周年を迎え、2019 年 11月にブダペストで開催された世界科学フォーラムにおいて、科学、倫理、責任に関する宣言文が発表されました。この宣言文を構成する1つの大きな柱として Science for global wellbeing が掲げられ、科学は持続可能な開発と世界の well-being に貢献をもたらす能力を持つグローバルな公共財であると言及されています。

~ RISTEX 設立以降~

【これまでの主な事業改革】

 2006 年度に、2005 年度に終了した「ミッション・プログラム」の事後評価結果等を踏まえ、社会技術研究開発のあり方の再構築が行われ、(1)テーマ設定等計画段階における社会的な問題の俯瞰及び研究開発領域の探索・抽出機能の拡充、(2)提案公募事業への全面的移行、(3)研究開発における関与者との協働及び社会実装の重視、を柱とする大幅なシステムの改革が行われました。
 このような新しいシステムのもと、最初に発足した2つの研究開発領域が 2012 年度をもって終了したこと等を踏まえ、2013 年度には、運営方針の再検討、再確認をするとともに、更なる改善に向けて、評価の抜本的な改善も進めてきました。「国の研究開発評価に関する大綱的指針」や文部科学省の評価指針を踏まえ、質の高い自己評価をベースに合理的に簡略化された外部評価を実施するとの方針を打ち立て、2015 年 2 月に運営評価委員会を立ち上げました。

【新たな取り組み】

(1)SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献

 2015 年 9 月の国連総会において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」が全会一致で採択され、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の17 の目標と169 のターゲットが、2030 年までに達成する国際目標として設定されました。
 RISTEX は、社会の具体的な問題の解決のための社会技術研究開発を進めてきた実績を生かし、社会問題の典型である SDGs の達成に貢献するため、2019 年度より「SDGs の達成に向けた共創的研究開発プログラム(Solution-Driven Co-creative R&D Program for SDGs(略称:SOLVE for SDGs) 」を開始しました。

<社会の具体的な問題解決に向けた取組の特徴>

■ 研究開発として行政セクターにとらわれない制度的隘路に横たわる課題への横断的なアプローチ
■ 研究開発としての挑戦的なアプローチによるソーシャルイノベーションの実現
■ 社会を観察することで問題の起こる背景や多面性を理解し解決すべき課題の抽出、人間の意思決定や社会心理、経済的観点等の分析を踏まえた、新たな社会システムの構築

(2)ELSI(倫理的・法制度的・社会的課題)への対応

 第5期科学技術基本計画、文部科学省審議会等において、科学技術イノベーションの実現にあたっては、科学技術の急速な進展に伴って生じる法制度の未整備、人々の価値観や順応性とのずれなど、ELSI(倫理的・法制度的・社会的課題:ethical, legal and social implications/issues)への対応の必要性が指摘されています。また、この様な科学技術イノベーションに係る ELSI の解決にあたっては、研究者のネットワークの構築や継続的な人材育成が重要であると言及されています。
 RISTEX は、2016 年度より開始した「人と情報のエコシステム」研究開発領域において、情報技術に関わる ELSI についての研究開発に取り組んでいることに加え、2020 年度には、エマージング・テクノロジーをはじめとする科学技術の ELSI について対応の実践とその方法論の開発、多様な ELSI 人材の養成等を狙いとする新たなファンディングによる研究開発プログラムを始動します。
 また、ファンディングによる研究開発の推進に加え、研究開発法人の責務としての研究成果の最大化および社会実装の創出に向け、JST 内の研究開発部門と連携し、多様なステークホルダーによる継続的な議論の場とネットワーキング形成のための研究会の設置や、対象とする技術に係る ELSI 研究・実践、法規制・標準化などに関する調査研究活動も進めています

<ELSI への対応の特徴>

■ 研究開発法人として、最先端の研究開発とELSI対応を同時並行かつ相互作用しながら機動的に推進
■ 研究開発法人としての強みや人文社会科学のネットワークを生かし、研究開発推進と社会との相互作用を促進
■ 新たな社会システムに影響を与える要素の分析・反映、新技術の社会システムに対する受容性の醸成

RISTEXの沿革

平成 12 年
(2000 年 )
科学技術庁が「社会技術の研究開発の進め方に関する研究会」(座長:吉川弘之日本学術会議会長<当時>)を設置。同年 12 月に提言「社会技術の研究開発の進め方について」を取りまとめる。
平成 13 年
(2001 年 )
日本原子力研究所および科学技術振興事業団が連携協力体制を構築して「社会技術研究システム」が発足。提言に基づく「研究開発領域」を設置して研究活動を開始する。
平成 15 年
(2003 年 )
日本原子力研究所が推進してきた研究を科学技術振興事業団に移管。科学技術振興事業団(現国立研究開発法人科学技術振興機構)の事業として一体的に推進することとする。
平成 17 年
(2005 年 )
「社会技術研究システム」を「社会技術研究開発センター」に改組。
平成 18 年
(2006 年 )
(1)テーマ設定等計画段階における社会的な問題の俯瞰及び研究開発領域の探索・抽出機能の拡充、(2)提案公募事業への全面的移行、(3)研究開発における関与者との協働及び社会実装の重視、を柱とする大幅なシステム改革に着手。
平成 19 年
(2007 年 )
社会実装の過程を通常の研究開発過程とは別に設定して運営する「研究開発成果実装支援プログラム」を設置。研究開発成果の普及・定着に向けた取り組みの支援を開始。
平成 25 年
(2013 年 )
研究開発領域が活動中に実装フェーズのプロジェクトを形成する「成果統合型」の実装支援プログラムを創設。研究開発領域にける成果を統合し、効果的に社会実装する取り組みの支援を開始。
平成 27 年
(2015 年 )
研究開発領域や研究開発プログラムの評価を適正かつ円滑に実施するため「運営評価委員会」を設置。
令和元年 (2019 年 ) ・SDGs 達成への貢献を目指した「SDGs の達成に向けた共創的研究開発プログラム」を創設。
・ゲノム関連技術の ELSI を議論するための研究会を RISTEX 内に設置するなど、ELSI 対応が本格始動。
令和 2 年 (2020 年 ) ELSI 対応に関する研究開発プログラムを新設。
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