発達障害者の特性別評価法(MSPA)の医療・教育・社会現場への普及と活用

イラスト:困っている人発達障害には自閉症、アスペルガー症候群などいくつかのタイプが存在し、そのうち複数のタイプが同時に現れることも多く、画一的な基準を設けて評価することが難しい。


図:知の組み合わせ(学術知(医学・心理学)×現場(病院・学校・保育)) 図:発達障害の要支援度評価尺度

背景

発達障害がある人は、生まれつき脳機能の一部に起因する特性があり、人とのコミュニケーションなど日常生活や社会生活に困難が伴う場合があるが、接し方の工夫や環境の整備など適切な支援があれば社会生活での支障を軽減することが出来る。しかしながら、発達障害には、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害、学習障害などいくつかのタイプが存在し、そのうち複数のタイプが同時に現れることも多く、また、その現れ方は人それぞれであることから必要な支援がどれくらいなのか等、画一的な基準を設けて評価することが難しい。ましてや医療、家庭、教育、福祉、地域社会など多岐にわたる支援者間で共通理解を形成することは容易ではない。

研究開発のアプローチ

本プロジェクトでは、特徴も程度も個々人によって多種多様である発達障害者の要支援度を客観的に評価し、且つ、本人や支援者にも分かりやすい評価尺度を開発・実用化し、社会の現場へ普及させるために、学術知(医学・心理学)と支援の現場(病院・学校・保育)の協働による研究開発を実施した。

成果

精神医学の見地をもとに、本人への聞き取り調査や行動観察、認知機能の解析を行い、発達障害の要支援度を評価し、本人や支援者に一目でわかる形にしたレーダーチャートとして表示する評価尺度(MSPA:Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)を開発した。

このレーダーチャートを医療・教育・社会現場に普及させるため、医師、公認心理師等の心理支援者、学校関係者など様々な関係者による協力体制の下で、医学や心理学等の分野をまたいだ研究者が、現場での支援に関する課題を整理し、発達障害者のライフステージごとの評価支援マニュアルを作成するとともに、評価者育成のための講習プログラムも開発し、定期的な講習会による専門家の育成に取り組んだ。

その結果、2016年4月には医療保険の適用となって医療機関での活用が広がるなど、包括的な支援システムの社会実装に繋がった。また、国内のみならず、中国、ドイツ、ブラジル等、海外での活用も始まっており、今後の国際展開も期待されている。

実装支援【公募型】 ロゴマーク 研究開発成果実装支援プログラム【公募型】
※本プログラムにおける成果実装予算規模(直接経費):1プロジェクト 5百万円から1千万円以内/年
プロジェクト実施期間:2014年10月~2017年9月



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