【終了】「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」研究開発領域について

 「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」研究開発領域は、平成22年度に始まり、平成27年度に活動を終了しました。

 我が国の65歳以上の高齢者人口は、2013年には4人に1人、2030年には3人に1人となると予想されています。本領域は、この世界でも類のない高齢社会の到来を目前にして、現在生じている、またこれから発生すると予測される社会の具体的な問題について洗い出し、広く社会の関与者の協働による研究体制のもと、現場を持つコミュニティレベルで実践的な研究開発を行い、問題解決に資する新しい成果を創出することを目指して活動しました。

本領域の詳細サイトは下記よりご覧ください。

領域総括

秋山 弘子

東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授

日本は世界の最長寿国です。現在、高齢者は人口の22%ですが、2030年には3分の1になります。75歳以上の人口が急激に増加し、1割の高齢者が認知症、4割が一人暮らしをしていると予測されています。80歳、90歳の一人暮らしが一般的になります。世界のどの国も経験したことのない超高齢社会が日本に到来します。

人口高齢化の影響は医療や福祉の領域にとどまらず、経済・産業・文化の広い領域で相互に関連する複雑な課題を提起しており、解決するためには社会の高齢化に応じた新たな価値観の創造と社会システムの抜本的見直しが必要です。

日本全国で約6000人の高齢者を20数年にわたって追跡調査した結果、約8割の人が70歳半ばまで一人暮らしができる程度に元気ですが、それ以降自立度の低下が始まることがわかりました。この70歳半ば以降の人口が今後20年で倍増することを考えると、今、私たちが急いで何をしなければならないかは明白です。

ひとつは、下降の始まる年齢を2年でも3年でも延ばすこと、すなわち、健康寿命の延長です。もう一つは、高齢者人口の高齢化により、確実に増加が予測される助けが必要な高齢者の生活を支援する社会のインフラ整備です。

私たちは、まだどこの国も解決したことのない高齢社会の課題に挑戦し、世界に先駆けてモデルをつくっていかなければなりません。多くの課題は、日常、私たちが生活する場にあるため、私たちが生活するコミュニティの課題を解決し新たな可能性を追求する具体策を考案し、実際にやってみる社会実験はひとつの有効なアプローチです。このような取り組みには、従来の縦割りの学術分野に閉じこもらず、他の分野と連携する柔軟性が必要です。さらに、学術の世界を超えて、自治体や民間団体、住民と協働し、創造力を駆使して粘り強く現場の課題に取り組んでいく新たな形の研究体制と研究方法が求められます。

志を同じくする産学官民のメンバーが、それぞれの役割をしっかり担って新たな高齢社会のデザインに取り組むとき、生涯、生き甲斐をもって安心して暮らせる、長寿を心から喜ぶことのできる社会の実現が可能になると確信しています。

領域の概要

 我が国では、2025年には65歳以上の人口が総人口の3割以上となり、2010年と比べて全国で700万人以上増加すると見込まれています。特に都市部における増加は著しく、大きな地域差が生じます。このような状況は世界的に例がなく、起こりうる問題の予測が極めて難しいため、現状を正確に把握し、問題点を洗い出し、対策の検討に向けた研究開発を実施することが急務となっています。
ところが、高齢社会の問題は個別分野の取り組みによる解決が困難で、高齢者自身の心理状態、身体状態、社会的立場などを考慮するような分野横断的視点だけでなく、現場の関与者の参画が欠かせないことなど、研究手法、研究体制ともに解決すべき課題が多く存在します。そのため、人文学・社会科学的観点も含め、あらゆる観点から問題解決の可能性を追究することが、より効果的な高齢社会のモデルを構築することにつながると考えられます。
さらに、高齢社会の様態や、地域、コミュニティにおける具体的な問題は日本全国一律ではなく、都市部や過疎地等の地域特性、多様なコミュニティの特性に応じた課題の整理と、それに基づく社会システム構築といった観点も重要です。そのために、適切にフィールドを設定した上で社会実験を実施し、成果を共有することの必要性について、関与者の機運が高まりつつあります。
RISTEXでは以前よりこうした取り組みの実績を積み重ねており、具体的な研究開発プロジェクトで、異分野の研究者間、研究者と現場の関与者間の協働を含め、先進技術の日常生活場面における実装やハードとソフトの両面のインフラ構築など、高齢社会に関する問題の解決に向けた研究開発を進めました。

領域の目標

(1)高齢社会に関わる問題について、地域やコミュニティの現場(*1)の現状と問題を科学的根拠に基づき分析・把握・予測し、広く社会の関与者の協働による研究体制のもとに、フィールドにおける実践的研究を実施し、その解決に資する新しい成果(プロトタイプ)を創出します。
(2)高齢社会に関わる問題の解決に資する研究開発の新しい手法や、地域やコミュニティの現場の現状と問題を科学的に評価するための指標等を、学際的・職際的知見・手法に基づき体系化し提示するための成果を創出します。
(3)本領域の研究開発活動を、我が国における研究開発拠点の構築と関与者間のネットワーク形成につなげ、得られた様々な成果が、継続的な取り組みや、国内外の他地域へ展開されることの原動力となること、また多世代にわたり理解を広く促すことにつなげます。

*1 行政区、学区等に限らず、共通の目的、価値に基づいて活動する人々の集まりや、企業、コンソーシアム等の団体、関連する職種等のコミュニティに関わる現場も対象とする。

領域の評価

中間評価

評価報告書

事後評価

評価報告書

研究開発プロジェクト

平成24年度採択

【カテゴリーⅠ】:社会の問題を解決するための選択肢を提示しようとするもの(研究開発のあり方や科学的評価のための指標などの体系化など)。

高齢者ケアにおける意思決定を支える文化の創成
清水 哲郎
(東京大学 大学院人文社会系研究科 特任教授)
認知症高齢者の医療選択をサポートするシステムの開発
成本 迅
(京都府立医科大学 大学院医学研究科 精神機能病態学 准教授)

【カテゴリーⅡ】:社会の問題の解決に資する具体的な技術や手法などについてその実証まで行おうとするもの。

健康長寿を実現する住まいとコミュニティの創造
伊香賀 俊治
(慶應義塾大学 理工学部 教授)
広域避難者による多居住・分散型ネットワーク・コミュニティの形成
佐藤 滋
(早稲田大学 理工学術院/総合研究機構 都市・地域研究所 教授/所長)
認知症予防のためのコミュニティの創出と効果検証
島田 裕之
(国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 部長)
2030年代をみすえた機能統合型コミュニティ形成技術
小川 全夫
(特定非営利活動法人 アジアン・エイジング・ビジネスセンター 理事長)

平成23年度採択

【カテゴリーⅡ】:社会の問題の解決に資する具体的な技術や手法などについてその実証まで行おうとするもの。

社会資本の活性化を先導する歩行圏コミュニティづくり
中林 美奈子
(富山大学 大学院医学薬学研究部 准教授)
「仮設コミュニティ」で創る新しい高齢社会のデザイン
大方 潤一郎
(東京大学 大学院工学系研究科 都市工学専攻 教授)
高齢者の虚弱化を予防し健康余命を延伸する社会システムの開発
新開 省二
(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)
高齢者の営農を支える「らくらく農法」の開発
寺岡 伸悟
(奈良女子大学 文学部人文社会学科 准教授)
高齢者による使いやすさ検証実践センターの開発
原田 悦子
(筑波大学 大学院人間総合科学研究科(心理学)教授)

平成22年度採択

【カテゴリーⅠ】:社会の問題を解決するための選択肢を提示しようとするもの(研究開発のあり方や科学的評価のための指標などの体系化など)。

在宅医療を推進する地域診断標準ツールの開発
太田 秀樹
(医療法人 アスムス 理事長)
新たな高齢者の健康特性に配慮した生活指標の開発
鈴木 隆雄
(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 研究所長)

【カテゴリーⅡ】:社会の問題の解決に資する具体的な技術や手法などについてその実証まで行おうとするもの。

ICTを活用した生活支援型コミュニティづくり
小川 晃子
(岩手県立大学 社会福祉学部・地域連携本部 教授/副本部長)
セカンドライフの就労モデル開発研究
辻 哲夫
(東京大学 高齢社会総合研究機構 教授)

実行可能性調査

(研究開発プロジェクトとしての実行可能性を1年間で調査し、その結果に基づき、あらためて採択・不採択についての評価を行うことを条件としたもの。)

2030年代をみすえた機能統合型コミュニティ形成技術
小川 全夫
(特定非営利活動法人 アジアン・エイジング・ビジネスセンター 理事長)

プロジェクト企画調査

平成22年度採択

自立高齢者の健康維持・増進と社会参加・社会貢献を包括するプログラム指針の検討
佐藤 眞一
(大阪大学 大学院 人間科学研究科 教授)
生涯現役高齢者が支える縮退都市の再活性化に関する企画調査
佐藤 俊郎
(株式会社 環境デザイン機構 代表取締役)
TOPへ