「持続可能な社会の実現」領域 本格研究

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日本型持続可能な次世代養殖システムの開発

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重点公募テーマ:「将来の環境変化に対応する革新的な食料生産技術の創出」
研究開発代表者: 中山 一郎(東京大学生産技術研究所 リサーチフェロー)
研究開発期間: 2021年06月~(探索研究 2018年11月~2021年05月)
グラント番号: JPMJMI21C1
研究概要日本型持続可能な次世代養殖システムの開発(PDF:522KB)

 魚の養殖は世界的に年々需要が増加する動物性たんぱく質確保のための有効手段の1つです。本研究開発課題では、持続可能性の観点から現在養殖の課題である、「飼料」「育種」「養殖の場」の3つの問題を解決することにより、たんぱく質の確保はもちろん、消費者が欲する多様な魚の生産を目指します。

 世界的な人口増加や食生活の向上が、たんぱく質の需要と供給のバランスが崩れる「たんぱく質クライシス」を引き起こすとの予測があり、SDGsの観点からもたんぱく質の確保が喫緊の課題となっています。魚肉は畜肉と並ぶたんぱく源であり、世界における水産養殖量は年々増加し、畜肉に比肩するポテンシャルを持つと期待されています。一方で、FAO(国際連合食糧農業機関)の報告によれば、漁獲できる水産資源は減少傾向にあるとされており、枯渇の危険に晒されている魚種もあると言われています。実際に2000年以降、魚肉の生産量における天然魚の占める割合は頭打ちで、現在では養殖魚が約半分を占めており、魚肉確保に養殖が大きな役割を担っています。

 一方で、養殖は3つの課題を抱えています。多くの魚種の養殖飼料に魚油・魚粉が必要で、魚を魚で育てざるを得ない「飼料」の問題、養殖に適する種苗魚の選抜には20~30年の期間が必要とされる「育種」の問題、養殖飼料の残さによる環境負荷や赤潮被害に加え、日本の沿岸養殖可能域はすでに飽和状態にあるといった「養殖の場」の問題です。

 本研究開発課題では、国内外で消費され、栄養価が高いサバを対象魚とし、上記3つの課題に対して統合的に取り組みます。「飼料」に関しては、植物原料から固体発酵技術により、魚油・魚粉を必要としない新しい養殖飼料の開発し、「育種」については、早期成熟とゲノミックセレクション法注1)により5年間で種苗魚を作出する育種技術の開発に加え、将来の社会実装を見据え、コピー魚を防ぐ不妊化技術・優良種保存技術の開発に取り組みます。「養殖の場」は、洋上風力発電など自然エネルギーを活用し、養殖海域と水深の可動や自動給餌が可能となる沖合・洋上養殖システムを構築します。

 本格研究では育種開発と飼料開発の連携およびそれを最大限生かせる場の設計を通じて、サバを現行の半分の期間(半年)で収穫可能なシステムを構築します。本システムは他魚種にも展開可能であり、大規模な沖合洋上養殖や小規模な沿岸養殖での多様な魚種の生産を可能とし、たんぱく質の確保はもちろん、四季折々に多様な魚を食する日本の「魚食文化」を維持することも期待されます。

注1) ゲノミックセレクション
特定の生物の品種・系統・交配で得られた個体などのゲノム情報を基に交配の予測モデルを構築し、優れた特性の個体を選び出す方法。


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図 研究目標と検討内容の概念図

研究開発実施体制

京都大学、東京海洋大学、東京大学、理化学研究所、
長崎県総合水産試験場、日本水産株式会社

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