「世界一の安全・安心社会の実現」領域 本格研究

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探索加速型 本格研究

ヒト感染性ウイルスを迅速に検出可能なグラフェンFETセンサーによるパンデミックのない社会の実現

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研究開発代表者

松本 和彦exlink

重点公募テーマ 「生活環境に潜む微量な危険物から解放された安全・安心・快適なまちの実現」
研究開発期間 2022年4月~(探索研究 2019年11月~2022年3月)
グラント番号 JPMJMI22D2
研究概要 研究概要PDF(PDF:880KB)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界中でパンデミックが続いており、政治、経済に強い影響を与えています。コロナウイルスの存在を前提にしながら、制限無く移動ができ、自由に人と会える・集える、経済活動ができる社会の実現が望まれますが、現状の対策では人々の行動を制限せざるを得ない状況が続いています。ウイルスを見つける、環境を清浄化する、身を護るため、科学技術イノベーションによる対策のアップグレードが必要です。

 その中でもウイルスを見つける技術は、清浄化する、護る技術の効果を高めるためにも重要です。感染者を発見するために現在使われている方法として抗原検査とPCR検査が挙げられます。抗原検査キットはポータブルで短時間に検査できますが、PCR検査に比べて検出感度が劣ります。一方、PCR検査は特別な機器が必要で、数時間の検査時間を要します。両者の良さを併せ持つ、短時間かつ高感度に様々なウイルスを検出する技術が求められており、研究開発が進められています。

 本研究開発課題では、研究開発代表者が世界に先駆けて提唱したグラフェンFET注)を使ったバイオセンサーを用いて、迅速・簡便、特別な機器を必要としない、広く世の中で使われる技術の実現を目指します。

 半導体デバイスであるグラフェンFETの表面に、レセプターと呼ばれるウイルスを捉える物質を結合してバイオセンサーを構成します。ウイルスの捕捉状態があたかもスイッチのように働いて、電気信号としてウイルスの存在を知ることができます。探索研究では、レセプターに抗体を用いることにより、不活化した新型コロナウイルスを高感度に検出することに成功しました。本格研究では、デバイスの高性能化、安定化を図るとともに、誰でも、どこでも、簡単に扱えるウイルス検出システムを実現します。また、2次元にグラフェンFETを配置したアレイデバイスを開発し、異なるグラフェンに様々なレセプターを結合することで、一度に多種類のウイルスが検出できるシステム開発を目指します。このシステムが実現できると、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に検出することも可能になります。本研究開発により生活空間に潜む様々なウイルスを迅速に見つけることを可能とし、安全・安心で快適な社会の実現に貢献します。

注)グラフェンFET:電気伝導や熱伝導に優れた最先端材料グラフェン(原子一つ分の厚みの炭素のシート)を用いた超高感度トランジスター

画像

図 グラフェンFETセンサーによるパンデミックのない社会の実現

研究開発実施体制

〈代表者グループ〉
 大阪大学 産業科学研究所

〈共同研究グループ〉
 京都府立医科大学、香川大学、中部大学

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