「世界一の安全・安心社会の実現」領域 本格研究

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健全な社会と人を支える安全安心な水循環系の実現

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 水は地球上のすべての生命の源であり、日常生活には欠かせない資源です。海、川、湖沼などでの水浴や親水活動により環境水を直接利用するほか、水道水、農産物、水産物などを介しても恩恵を受けています。また、排水は下水処理施設で処理された後、河川、湖沼、海域などの水環境へと排出されており、水は人や社会の活動と水環境の間で循環しています。

 一方で、高度な都市化や人口集積などにより、水循環系(図)における化学物質や細菌・ウイルスなどの健康リスクの発生源や全体像が明確ではない状態にあります。また、将来深刻となる薬剤耐性菌への環境も含めた対応も世界的な課題となっています。さらに、気候変動の影響により都市豪雨が多発し、処理が不十分な排水が排出される危険性が高まっています。このような課題によって、私たちは直接・間接的に水に関わる健康リスクに晒されていますが、見えないこともありその認識が低いままです。

 各国ではバイオリスクの環境基準や排水規制を厳しくしている一方で、日本の大腸菌群数の排水規制は1938年に定められた値のままで、2022年に半世紀ぶりに環境基準を大腸菌群数から大腸菌数に変更する段階です。病原微生物や薬剤に関しては排出規制がなく、世界的に見ても水循環系の健康リスクへの対応が遅れていると言わざるを得ない状況です。このため、現状の水インフラシステムでは、水利用にあたっての健康リスクをゼロにすることができない状況にあります。

 そこで本課題では、ウイルス・病原細菌・薬剤耐性菌・化学物質などの健康リスクの発生源(重要管理点)を特定し、リスク評価に基づく水処理技術を導入し、リスクコントロールを行うことで、安全・安心な水利用の実現を目指します。探索研究では、現地調査により水循環系の健康リスクの低減のために下水処理施設・病院施設・畜産施設が重要管理点となりうることを明らかにしました。また、排水・浄水処理それぞれに適した水処理技術を開発し、従来技術よりも高性能化・低コスト化できる可能性を提示しました。さらに、近年世界的に注目を集める下水疫学にも取り組み、下水中の新型コロナウイルスの検出に成功し、従来技術の100倍の感度で検出する方法を確立しました。また、札幌市、京都市などで実測データを蓄積することで感染動向との関連性を実証しました。

 本格研究においては、検出技術の改良により、様々な地域での健康リスク実態を解明するとともに、健康リスク評価システムの開発と自動化によって、重要管理点を含めた水循環系全体におけるリスク実態を迅速に把握することを目標に研究開発を推進します。特に下水疫学による公衆衛生情報提供については、喫緊の社会的ニーズを満たすよう、順次社会実装を進めます。また、水処理技術の改良により、合理的に許容できるレベルまで排水中の健康リスク物質を低減すること、および産官学の連携強化によって研究成果を水インフラシステムへ導入し、水処理システムの高性能化・低コスト化を目指します。これらの成果により、安全・安心な水インフラが整備された健全な水循環系を世界に先駆けて構築し、誰もが健全な水資源を享受できる未来社会の実現に貢献します。

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図 本課題が目指す安全・安心な水循環系を実現できる社会

研究開発実施体制

〈代表者グループ〉
 信州大学、京都大学

〈共同研究グループ〉
 北海道大学、工学院大学、摂南大学、高知大学、三菱電機株式会社、株式会社ニュージェック、
 札幌市、東北大学、株式会社塩野義製薬、株式会社島津製作所、株式会社島津テクノリサーチ、
 株式会社AdvanSentinel、株式会社日水コン、株式会社東京設計事務所


※統合前の探索研究課題
「誰からも信頼される「水」を創る新規VUV/MBR」(松井 佳彦)・「重要管理点での高規格水処理によるバイオリスク低減」(田中 宏明)

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