「世界一の安全・安心社会の実現」領域 本格研究

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個人及びグループの属性に適応する群集制御

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重点公募テーマ:「ひとりひとりに届く危機対応ナビゲーターの構築」
研究開発代表者: 西成 活裕(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
研究開発期間: 2020年4月~2025年3月(探索研究 2017年11月~2020年3月)
グラント番号: JPMJMI20D1

 群集事故は誘導されていない人の流れが滞留することによって起こります。このような滞留は、災害によって誘発されたパニックの際に発生しやすいことがよく知られていますが、それ以外の時にも起こり得ます。例えば、通行の邪魔になるものがある場合や、1ヵ所に許容量を超えて人が殺到する場合などです。
 そこで、人の流れの滞留を回避し、群集事故低減に資する「渋滞学」という学問が注目されています。「渋滞学」はさまざまな場所に現れる「渋滞」現象のメカニズムを物理学的な視点から研究し、車、物、人など、あらゆる流れが不安定化する現象を一種の相転移現象として扱います。そして、理論・シミュレーション・実験や観測などに総合的に取り組み、スムーズな社会の動きを生み出します。現在、交通規則に基づく整然とした車の流れや物流などの研究は進んできていますが、人の流れは速度や行き交う経路が人によって異なるため、滞留が発生するメカニズムが科学的に明らかになっていません。そのため、滞留の発生を抑制するための人の誘導手法が体系化されておらず、未だに大規模な群集事故が発生しています。
 本課題では、群集事故が発生するリスクを大幅に低減するため、人の流れの滞留発生メカニズムを解明し、効果的に人の流れを誘導する手法の確立を目指します。探索研究では、車いすやグループ行動など異なる人の流れを推定できる数理モデルを導出し、高精度な滞留の予測を可能にしました。本格研究では予測に基づき、ゲーム理論注1)やナッジ理論注2)を用いた人の流れを誘導する技術を開発します(図1)。例えば、明るい場所に向かおうとしたり、聞こえるリズムに歩調を合わせたりする人間の本能を利用した人の流れの誘導を実現します。さらに、ショッピングモールや駅などで実証実験を行うことによって誘導によるリスク低減効果を明らかにします。この知見を生かした群集制御システムを構築することによって、安全安心、快適、効率的に移動できる社会の実現に貢献します(図2)。

 注1)ゲーム理論
 利害関係を持つ相手がいる状況で自分と相手の利益を考え最適な行動を決める手法
 注2)ナッジ理論
 対象者に選択の余地を残しながらも、より良い方向に誘導する手法

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図1 本課題が目指す群集マネジメントシステム

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図2 本課題が目指すひとりひとりが安全安心、快適、効率的に移動できる社会の実現

研究開発実施体制

〈代表者グループ〉
 東京大学 先端科学技術研究センター

〈共同研究グループ〉
 北海道大学、大阪大学、三菱電機株式会社、セコム株式会社、
 株式会社グッドフェローズ、日本ユニシス株式会社

プロジェクト代表拠点

〒153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学 先端科学技術研究センター 4号館
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/tknishi/

群集マネジメント研究会
http://www.crowdmanagement.jp/

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