「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域 本格研究

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雑種強勢の原理解明によるバイオマス技術革新

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重点公募テーマ:「ゲームチェンジングテクノロジー」による低炭素社会の実現
研究開発代表者: 佐塚 隆志(東海国立大学機構 名古屋大学 生物機能開発利用研究センター 教授)
研究開発期間: 2021年6月~(探索研究 2017年11月~2021年5月)
グラント番号: JPMJMI21E1
研究概要雑種強勢の原理解明によるバイオマス技術革新<(PDF:557KB)

 植物には、二酸化炭素をバイオマスや糖へ効率よく変換する優れた能力があります。低炭素社会の実現には、この能力を最大限に活用することが重要です。一方、近年のDNAシーケンス技術の急速な進歩によって、これまで経験と勘に頼っていた交配による育種プロセスも、DNA情報で補足し追跡することが可能となり、正確かつ迅速になりました。そこで本研究開発課題では、高バイオマス作物を育種母本として、低炭素社会に最適化した新品種を創出し、作物が作り出すバイオマスや糖を活用した低炭素社会の実現を目指します。

 具体的には、サトウキビの近縁である「ソルガム」に注目します。まず、本研究の探索研究期間で明らかにした「雑種強勢注1)メカニズムの原理」を育種へ応用します。これまでF1(雑種一代)注2)の雑種強勢でしか達成できなかった高バイオマス性ですが、この画期的な育種法を活用すれば、純系注3)品種でも可能となるはずであり、この理論を実験実証します。これにより、多くの時間、労力、コストを必要とした高バイオマスソルガム種子生産の技術革新を目指します。また、ソルガムは高バイオマス性のみならず、茎(稈)に糖を蓄積する品種もあります。そこでソルガム搾汁液の糖成分育種にも取り組みます。ソルガムの搾汁液中のヘキソース注4)/スクロース比を制御する遺伝子の同定も目指し、育種に応用することで、搾汁糖液のさまざまな産業利用に応じた品種を創出するテーラーメード育種も目指します。さらに、ソルガムバイオマスの特性評価(成分分析)と、さまざまな工業微生物を用いた発酵への影響評価、これらの指標を定量的にスコア化するためのワークフローを構築し、含有する重要成分とその作用の関連性も明らかにすることで、ソルガムによる産業創出と社会実装を加速化します。

注1) 雑種強勢
ある特定の組み合わせの両親を交雑した際に、雑種一代 (F1) が両親よりも優れた形質を示す現象。
注2) F1(雑種一代)
2つの純系を交配して作出された雑種の一代目。
注3) 純系
全ての遺伝子座がホモ接合型となっている系統。
注4) ヘキソース
ソルガム搾汁糖液では、グルコースとフルクトースが主。

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図 本研究が目指す雑種強勢の原理解明によるバイオマス技術革新

研究開発実施体制

川口秀夫(神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 特命准教授)
春日重光(信州大学学術研究院(農学系) 教授)

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