3次元組織工学による次世代食肉生産技術の創出
重点公募テーマ | 「将来の環境変化に対応する革新的な食料生産技術の創出」 |
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研究開発期間 | 2020年04月~(探索研究 2018年11月~2020年03月) |
グラント番号 | JPMJMI20C1 |
研究概要 | 研究概要(PDF:428KB) |
世界の人口は2050年に97億人に達すると試算されています。また、経済的に豊かになると肉の消費量が増加するといわれており、人類が食べる肉の量は2010年と比較して1.8倍に増えると見込まれています。しかし、既存の畜産手法では人口増加・食料需要増加への対応が難しいだけでなく、環境問題、安全性、倫理といった多くの問題も指摘されています。
例えば、現状の畜産の生産手法では1キログラムの牛肉を生産するためには25キログラムのトウモロコシと2万リットルの水が必要とされ、効率の悪さが指摘されています。また、食肉の増産には飼料や水に加え広大な放牧地が必要になりますが、これを確保するための違法な森林伐採などが深刻な問題になっています。さらに、飼育する家畜の糞尿から排出される大量のメタンガスが地球温暖化を促進することも懸念されています。
そこで、近年注目を集めているのが「培養肉」という、ウシなどの動物から取り出した少量の細胞を動物の体外で増やして作られる肉です。この培養肉の生産技術に対し、世界中で投資や研究が盛んに行われており、2013年8月には英国で世界初の培養肉バーガーの試食会が開催されています。しかし、現在の技術では培養した細胞を集めて固めたミンチ肉しかできず、ミンチ肉では実現できない料理や調理法を含む広範な食文化に対応できる塊状の肉については、厚みを持つ細胞組織を作ることが難しいといわれています。
本課題では人工的に塊状のステーキ肉を創出するため、最先端の生命科学と工学を駆使し、3次元の細胞組織を構築する技術の確立を目指します。社会実装にあたってはコスト面が指摘されていましたが、光合成で育つ藻類を栄養源とした細胞培養などに取り組む研究チームの成果を取り入れることで、低コスト化の道筋が見えてきています。本格研究では、探索研究で実現した1センチメートル角の培養肉のスケールアップや藻類を用いた細胞の大量培養などに取り組み、おいしさと低コストを両立する食肉生産技術を確立します。
また、本研究開発を進める中で、「培養肉」がスムーズに社会に受け入れられるよう、ELSI(倫理的・法的・社会的な課題)に関わる調査検討を並行で進めるなど、多角的に研究開発を推進します。
図1 本課題が目指す持続可能な資源循環型社会
研究開発実施体制
〈代表者グループ〉
東京大学 大学院情報理工学系研究科・生産技術研究所
〈共同研究グループ〉
東京女子医科大学、筑波大学、早稲田大学、大阪大学、
日清食品ホールディングス株式会社
プロジェクト代表拠点
〒153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1
東京大学 生産技術研究所 As406
トピックス
※統合前の探索研究課題
「藻類と動物細胞を用いた革新的培養食肉生産システムの創出」(清水 達也)・「組織工学技術を応用した世界一安全な食肉の自動生産技術の研究開発」(松崎 典弥)・「3次元組織工学による次世代食肉生産技術の創出」(竹内 昌治)
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