「持続可能な社会の実現」領域 本格研究

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製品ライフサイクル管理とそれを支える
革新的解体技術開発による統合循環生産システムの構築

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重点公募テーマ:「新たな資源循環サイクルを可能とするものづくりプロセスの革新」
研究開発代表者: 所 千晴(早稲田大学 理工学術院 教授)
研究開発期間: 2019年12月~2024年3月(探索研究 2017年11月~2019年11月)
グラント番号: JPMJMI19C7

 持続可能な社会の実現には、資源消費量の増大や廃棄物処分場の逼迫に伴う環境問題の解決が急務です。天然資源の投入、製品の製造から廃棄までのライフサイクルでいかに効率よく資源を利用していくか、廃棄量を最小化できるかに解決策を与えることが必要です。
 そこで本課題では、製品を構成している異種材料部品を簡単に分けて外すことが可能な「新規電気パルス法」の技術開発に取り組んでいます。新規電気パルス法とは、従来の電気パルス法と異なり、放電経路を精緻に制御することにより、高選択的・高効率に部品・素材の分離が可能となる技術です。

 例えば、将来的に大量使用・大量廃棄が想定されるリチウムイオン電池の再生利用においては、正極活物質をアルミ箔から分離することが不可欠ですが、現在の技術では正極活物質とアルミ箔を混合状態の粉末にした後に化学的な精製によって有用元素を回収するしかないため、コストや環境負荷が高くなります。
 本課題では、探索研究を通じて、新規電気パルス法でアルミ箔から正極活物質を分離することに成功しました(図1)。これにより、品位が高い正極活物質を分離できたため、電池に再生利用する正極材作製プロセスを大幅に効率化し、一連の工程にかかるコストを低減できる可能性が示されました。なお、放電経路を精緻に制御できない従来の電気パルス法では、両者は混合粉砕されるに留まります。
 本格研究では、高選択的・高効率な物理的分離技術である「新規電気パルス法」を開発し、分解が容易な設計・製造プロセスの提案につなげることにより、全く新しい循環生産システムの構築を目指します(図2)。
 近年、さまざまな用途に合わせて素材を適材適所に組み合わせる「マルチマテリアル化」の流れが強まっています。例えば自動車産業でも、燃費や安全性能、軽量化などを目的にマルチマテリアル化が進められています。本課題では、新規電気パルス法による自動車の材料部品を始めとする異種材料部品の分離の物理的機構を解明するとともに、容易に分解可能な設計・製造プロセスにつながる技術開発を推進します。
 まず、電気パルスによって接着部分が剥がれる物理・化学的現象理解やその制御法についての基礎・基盤を体系的に研究します。それをもとにして、多くの製品への適用やその社会実装に向け、具体的な分離プロセスの構築や、分離を前提とした接合技術に基づく製品の設計・製造へと発展させます。
 さらに、分離技術を念頭に置いた製品ライフサイクルの最適化を行うための評価技術を構築します。その過程で早期に実現可能性がある適用先に関しては、積極的に企業との応用展開を進めていきます。
 本事業を通じて、これまで困難であった、製品構造に組み込まれた部品の高選択的・高効率な分離技術を確立し、新たな資源循環ループを創出します。そして、生産システムと統合された持続可能な資源循環型社会の実現に貢献します(図3)。

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図1 リチウムイオン電池のアルミ箔と正極活物質の物理的分離

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図2 革新的な物理的分離技術を中心とした循環生産システム

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図3 本課題が目指す持続可能な資源循環型社会

研究開発実施体制

〈代表者グループ〉
 早稲田大学 理工学術院

〈共同研究グループ〉
 熊本大学、東京大学、東北大学、東京工業大学、埼玉工業大学、
 株式会社本田技術研究所、日産自動車株式会社、株式会社ADEKA、松田産業株式会社、
 東レ株式会社、株式会社エヌ・ピー・シー、株式会社浜田、株式会社レクサー・リサーチ

プロジェクト代表拠点

〒169-8555 新宿区大久保3-4-1
早稲田大学 創造理工学部/研究科 環境資源工学科/地球・環境資源理工学専攻 (51号館12階)
http://www.tokoro.env.waseda.ac.jp/

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