「次世代情報社会の実現」領域 本格研究

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探索加速型 本格研究

多層的生体情報の統合による疾患予防デジタルツインの構築

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研究開発代表者

村上 善則exlink

重点公募テーマ 「Human centric デジタルツイン構築による新サービスの創出」
研究開発期間 2024年4月~(探索研究 2021年10月~2024年3月)
グラント番号 JPMJMI24H2
研究概要 研究概要PDF(PDF:779KB)

 日本は世界有数の長寿国ですが、平均寿命と健康寿命には12年の開きがあり、成人の65%以上が生活習慣病に罹患しています。その結果、医療費は膨大となり2021年度には44兆円に達し、年間2兆円ずつ増加しています。この状況が我が国の個人の幸福と社会の活力を損ねる大きな原因となっています。この問題の克服には疾患の早期予防が有効と考えられます。例えばがんでは予防により医療費の約36%、年間約1兆円が削減可能と試算されています。これを生活習慣病全体にあてはめれば、予防効果は年間4.8兆円の医療費削減となり、経済的にも国民のQoL向上にも大きな効果が見込まれます。

 しかし現在の疾患予防は、定期的な健康診断による自らの健康状態の把握と、喫煙、飲酒、食事、運動などの生活習慣の改善が中心で、個人差に十分に対応していない画一的なものであることが、一部で診断の遅れや過剰検査につながっています。一方で、近年のゲノム科学や情報科学の爆発的進歩に伴い、個人のゲノム情報や他の生体情報、生活習慣情報などの解析により、個々人の疾患リスクの予測が可能となりつつあります。いまや疾患予測に有効なアルゴリズムの構築は、関連産業の興隆とともに世界的研究課題となっています。しかし、個別疾患の研究枠を超えた、さらには最新の情報解析技術を駆使した、生体情報に基づく疾患予防は世界的に未開拓の領域でした。この種の解析の鍵となるのは、基盤となるデータの質と量、観察期間の長さです。雇用者に従業員健診を義務付けている国は日本のみであり、その結果、情報解析に理想的な、質・量ともに優れた健診情報が長期間蓄積されていたにもかかわらず、いままで十分には利活用されて来ませんでした。

 本研究課題では、健診情報に生体情報を加えて統合的に解析する高精度な疾患リスク予測と予防的介入の技術を確立することで、国民の健康の増進と医療費削減を目指します。探索研究では、6万人分の企業健診データにゲノム多型情報を加えたデータベース(DB)を構築しました。そして、多数の遺伝子の効果を考慮して各疾患のリスクを評価するポリジェニック・リスクスコア(PRS)を構築し、肥満、脂質異常症、糖尿病など10種の生活習慣病の疾患リスクを予測し、高危険度群の同定に成功しました。また、PRSを既存の機械学習による予測アルゴリズムに統合して、その精度の向上に成功しました。

 本格研究では、探索研究で検証したDBと予測技術を基盤として、リスク予測の対象を38疾患、20万人に増やすとともに、様々な生体情報を組み込んだ統合情報解析法を開発し、将来の健康をシミュレーションするアルゴリズム構築と疾患予防法の確立を目標とします。また、本研究の成果としての疾患リスク予測モデルを、広く一般企業や自治体にも適用することで解析対象者数、解析疾患数、統合する生体情報の種類と量、情報解析手法の種類と質の拡大を図ります。さらに本法は、ゲノム情報の近縁性、生活習慣の類似性などから、東アジア諸国でも利用可能であることから、国内のみならず海外への展開も進めることにより、最終的に100万人規模の情報収集と長期追跡を目指していきます。

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図 個々人の健康デジタルツインの構築による疾患予測・予防体系

研究開発実施体制

〈代表者グループ〉
 日本医科大学先端学医学研究所 分子生物学部門

〈共同研究グループ〉
 東京大学、東京工業大学、東京電機大学、国立がん研究センター、NTTライフサイエンス株式会社

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