技術テーマ「自己位置推定機器の革新的な高精度化及び小型化につながる量子慣性センサー技術」
自己位置推定は、物・人の測位、機器等の自動化・自律化に適用され、例えば全球測位衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)による航空機のオートパイロットや、携帯型移動端末等による周辺情報発信といった各種サービスなど、その活用が急激に広がり、社会の身近な分野で役立っている。GNSSは衛星からの電波受信が必須であり、地下や屋内、海中といった電波の届かない遮蔽空間や電波の届きにくい状況では、移動体の角速度等を高精度に計測してどの位置でどの方向に進んでいるかを推定する慣性センサー装置で代替・補完等活用することが有効である。また、精度の高い慣性センサーの創出は人工衛星やロボット等の姿勢制御など応用範囲が広い。近年、自己位置推定機器の革新的な高精度化および小型化につながる量子効果を用いた慣性センサーの研究が進展しており、将来的に高精度な慣性センサーを実現する一手法として期待される。
冷却原子・イオンを用いた高性能ジャイロスコープの開発

研究開発期間 | 2017年11月~2024年3月 |
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グラント番号 | JPMJMI17A3 |
研究概要 | 研究概要![]() |
目的:
準天頂衛星みちびきの信号欠落時を補完して民生応用を拡大する上で、自己位置推定機器の精度向上は必須の課題である。
本研究では、自己位置の推定精度を律則しているジャイロスコープの性能を、原子波干渉とよばれる量子技術を駆使して向上させることを目指す。
研究概要:
ジャイロスコープの性能は、定角速度下における出力のアラン偏差で評価できる。最高性能を有する光干渉型リングレーザージャイロに比べ、アラン偏差を2桁程度低減することができれば、「自動運転車の多重安全性確保」、「海洋資源探索の効率化」、「自動運転船舶を用いた物流における安全性確保」などが期待できる。本研究では、光波のかわりに、原子やイオンが有するド・ブロイ波を用いて干渉計を構築することでアラン偏差を飛躍的に低減するとともに、原子波ジャイロスコープを用いた高性能自己位置推定機器の実証機を試作する。原子波ジャイロスコープを実験室環境下で原理実証することはもとより、これを振動や加速を伴う実使用環境下でも機能するセンサーとして実装し、さらに小型化技術を醸成することで、様々なビークルへの搭載を可能にする。ジャイロスコープの性能が桁で向上すると、重力異常や鉛直線偏差といった重力の変動が自己位置推定に与える影響が無視できなくなる。この影響は、重力勾配計によって原理的に補正が可能であり、本研究ではジャイロスコープ性能向上後の将来も見据え、重力勾配計に関する基礎研究も併走させる。

研究開発実施体制
〈代表者グループ〉
東京工業大学
〈共同研究グループ〉
大阪大学、日本航空電子工業株式会社
プロジェクトHP
http://www.mirai.qnav.iir.titech.ac.jp/index.html
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