「共通基盤」領域 本格研究

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探索加速型 本格研究

カスタマイズ可能な光学センシングの確立と社会・生活に新たな価値をもたらす光情報の高度利用創出

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研究開発代表者

河野 行雄exlink

重点公募テーマ 「革新的な知や製品を創出する共通基盤システム・装置の実現」
研究開発期間 2023年4月~(探索研究 2020年11月~2023年3月)
グラント番号 JPMJMI23G1
研究概要 研究概要PDF(PDF:765KB)

 あらゆる物の表層から内部までを計測し可視化することは、対象物の状態を把握する上で必要不可欠です。例えばトンネルなどのインフラ点検においては、外観の目視や打音といった検査が行われ、内部まで含めた状態の推定が行われています。より正確に内部状態を計測するためには、X線CTなどが用いられますが、装置が高価かつ大型のものであるため、現場でのその場観察は現実的ではありません。また、食品の詳細な成分分析などでは、対象物を切断、破砕、抽出してサンプル分析を行う必要があるため、非破壊で「あるがまま」の状態での分析は、現状では困難です。

 探索研究においては、①カーボンナノチューブを受光素子とした印刷型作製法による簡便で安価なセンサーアレイ化の原理実証、②計測・解析融合画像再構成技術、超広波長域(テラヘルツ~可視光)統合技術により非侵襲での断層観察・成分分離を実現しました。

 本格研究では、探索研究における成果を基に、光ダメージを受けやすい対象物に対しては微量の光照射で精度よく計測するためのセンサーの高感度化を行うとともに、ダメージレス計測を可能とする低照射下での画像鮮明化や、非破壊・非侵襲での内部構造識別を可能とする内部再構成技術などの基盤技術開発を進めます。応用研究としては従来、非破壊での内部計測が困難であった、①食品の成分・構造・状態の同時計測と美味しさ、食感、安全性の定量的評価、②肌内部状態の可視化と予防保全に向けた審美性や傷の定量的評価、③美術品の非破壊断層解析による制作過程・作者の表現解明、作品評価などを対象に、ポータブルなセンサーデバイスを開発して、その有効性を検証します。

 新奇全印刷型センサーアレイのプロセス技術として、従来のCMOSなどタイル状に受光素子を配置した画像センサーとは異なる任意パターンのセンサーアレイ印刷技術を開発し、多様な対象物の形状・波長域、画像処理に最適化されたカスタム撮像デバイスを創出します。

 これらの技術により対象物ごとに計測方法を最適化することで、例えば、美術品の素材解析では、照射空間パターンや波長を変えて計測することにより、絵画の下地から表層までを層ごとに網羅的に解析し、これまで不明瞭であった下地デッサンから完成形に至るまでの製作工程や巨匠の技の解明を非破壊・ダメージレスで実現していきます。さらに、劣化状態や修復履歴なども可視化することができるようになり、文化財の修復保護という観点でも、非常に大きな価値をもたらす検査技術となることが期待されます。

 このように本技術は、大型の装置やサンプル採取などの分析では不可能であった非破壊・ダメージレスでの計測を可能にするだけでなく、ポータブルなセンサーデバイスにより、現場で「いつでも・どこでも、表層から内部まで、構造・状態を見える化」できる普段使いのセンシング技術として広く普及し、人々のQOL向上、安心・安全社会の実現、新たな価値創造など、研究開発現場に限らない、さまざまな社会的課題の解決に貢献します。

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図 本格研究が目指すセンシング技術と未来社会

研究開発実施体制

〈代表者グループ〉
 中央大学 理工学部

〈共同研究グループ〉
 国立情報学研究所、東京大学、九州大学、京都大学、慶應大学、東京藝術大学

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