サイエンスアゴラ2021企画
「2035年のありたい未来社会とは
~科学技術×エンパワーメント~」 報告

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開催概要

■ 出展日時:2021年11月7日(日) 10:00~12:00

■ 出展形式:オンライン開催(webinarによるライブ発信)

■ 主催者 :未来創造研究開発推進部、「科学と社会」推進部

報告

 未来創造研究開発推進部および「科学と社会」推進部は、2021年11月7日、webinarによる科学フォーラム「サイエンスアゴラ2021」において、公開セッション「2035年のありたい未来社会とは~科学技術×エンパワーメント~」を開催し、YouTubeによるライブ配信とあわせて約100名の参加があった。

 本セッションは科学技術とエンパワーメントの役割を主題とし、ヘルスケア、エンターテインメントを事例として、コロナ禍で変化した経済・産業構造や社会のニーズを踏まえた、科学技術・イノベーションへの期待や課題を、研究・起業・事業・投資など立場の異なる登壇者らと議論していくことで、2035年のありたい未来社会を共創するための科学技術・イノベーションの可能性を共有することを目的に開催した。

 研究者、起業家、投資家の話題提供の後、未来社会創造事業の次世代情報・社会課題解決・個人最適化領域の運営統括を含む登壇者が、ありたい未来社会とその実現のために何が必要かについてディスカッションを行った。

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左上から、ギジログガールズ、河西氏、前田運営統括、高橋運営統括、岡島氏、内田氏、中村氏、和賀運営統括
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ギジログガールズによる当日の議論のまとめ

1. オープニング

開始に当たり「2035年に実現されると考えられる社会の姿」について選択肢を示してアンケートを実施したところ、「自然災害・異常気象が今よりも深刻に拡大している社会」、次いで「医療技術が発達して今より健康寿命が延伸された社会」という回答が多かった。
また、ファシリテーターの高橋 桂子 早稲田大学総合研究機構グローバル科学知融合研究所・上級研究員/研究院教授(「顕在化する社会課題の解決」領域運営統括)より、未来事業の仕組みやセッションの趣旨説明が行われた。

2. 話題提供

①内田 由紀子 京都大学こころの未来研究センター・教授、「個人に最適化された社会の実現」領域研究開発代表者

「エンパワーメント×ヘルスケアとWell-being」と題し、社会的なつながりなどの個人を支える場の環境が「エンパワーメント」の源として、メンタルなヘルスケアも含む個人の幸福をもたらすとの仮説に立ち、自らの研究構想について講演。講演後、科学技術により加速する社会的なつながりについて、ICT技術によるコミュニケーションにより「風通しをよくする」などのキーワードで議論。

②岡島 礼奈 株式会社ALE・代表取締役/CEO

「科学と社会をつなぐ」というテーマで、小型人工衛星の開発技術をもとにした、人工流れ星の生成による新たなライブ体験の実現や、従来は十分でなかった中層大気全域の観測データ取得、宇宙デブリ拡散防止装置の事業化について講演。講演後、流れ星ビジネスのマネタイズや地方における経済波及効果、流れ星を見た人の感動体験や科学への興味に関する行動変容の計測等が議論された。

③河西 佑太郎 Angel Bridge株式会社・代表パートナー

「投資家から見た大学発ベンチャー(大学に眠る技術の社会実装)」と題し、研究や技術を事業化に結ぶためのベンチャーキャピタルの役割や、大学発ベンチャーの成功例(Heartseed)、大学発ベンチャーが目指すべきエコシステムや現状のボトルネックについて講演。講演後、米国に比べて経営やビジネスの観点が不足している日本の研究者のマインドをどう変えていくべきか、大学発ベンチャーにおけるニーズ・シーズオリエンテッドの考え方等が議論された。

3. 総合討論

話題提供者と前田 英作 東京電機大学 システムデザイン工学部・学部長・教授(「次世代情報社会の実現」領域運営統括)、和賀 巌 NEC ソリューションイノベータ株式会社・プロフェッショナルフェロー(「個人に最適化された社会の実現」領域運営統括)、中村 亜由子 eiicon company・代表によるディスカッションを行った。主な論点は以下の通り。

● ありたい未来社会、その実現に必要なこと
  • 多様な人が制約なく活躍できる風通しの良い社会。その実現のためには、人文社会学系、理系、企業など、異分野が互いに巻き込みあう必要がある。
● 研究とビジネス化の関係を考慮する際のシーズオリエンテッドとニーズオリエンテッドの考え方
  • 事業化する際は、ニーズオリエンテッドの方が成功しやすい。一方で、基礎研究の推進にあたってはニーズを意識しすぎることについては懸念があるものの、分野によっては異なる。(例:医学系はニーズオリエンテッド発想が強い傾向)
● 今後の未来社会を創っていくにあたっての、研究者のビジネスへのマインドや考え方
  • アメリカでは高校教育で経済学や投資の科目があることによって、研究者であっても基礎知識が備わっている。一方で、日本では10代のうちにそのような教育を受ける環境になく、ビジネスを身近に感じられない。特に研究者の中には、「金儲けは悪である」という認識もまだ根強い印象。教育のあり方から見直す必要があるのではないか。

4. 主な質疑応答

【質問】ウェルビーイングの経済合理性を示すことはできるか。
(内田氏)医療や心理分野では計測が行われている。主にストレスチェックなど、未病の時点で計測している。
【質問】流れ星の事業を生かすうえで、世界中の「流れ星文化」とコラボするような発展は考えられないか。地球上どこでも見られるとしたら観光に行く必要はないのではと感じてしまうが、地域ごとの特徴などが表れるのか。
(岡島氏)流れ星の国による捉え方を研究したことがあるが、宗教や地域によって違いがあり、地域の特色をふまえた対応をしていきたい。また、日本の借景のように、その土地のその場所にしかできないことをやっていきたい。
【質問】技術の評価は専門家でないと難しいと思われるが、どのように未来の可能性を評価しているのか。
(河西氏)技術の目利きは技術に関するバックグラウンドがないと難しい。技術がわかるメンバーを色々な領域に揃えていくことが我々の次のステップになる。
【質問】気候変動への対応として、どのようなアクションが考えられるか。
(河西氏)CO2を見える化する技術、CO2を固定化する技術が出てきており、今後盛り上がってくることを期待。
(岡島氏)観測技術・データが求められている。また、自分の専門分野以外も横断して俯瞰し、学問の分野を超えた話をしていかなければいけない。

以上

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