バイオマス由来触媒によるPower-to-Xの確立と資源・エネルギー循環社会の実現

重点公募テーマ | 「持続可能な環境・自然資本を実現し活用する新たな循環社会システムの構築」 |
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研究開発期間 | 2025年4月~(探索研究 2022年10月~2025年3月) |
グラント番号 | JPMJMI25I1 |
研究概要 | 研究概要![]() |
再生可能エネルギー(Renewable Energy:RE)の利用拡大は、我が国のエネルギー自立と脱炭素化に向けて必須の課題です。しかし発電量などの時間変動が大きいREをフル活用するためには、REの変換・貯蔵(Power-to-X)技術が必須となり、大型蓄電技術や水素、合成メタンや合成燃料(e-fuel)などへの転換技術が期待されています。
しかし、これらPower-to-X技術に共通する課題が、電極反応に要する白金を始めとしたレアメタル触媒であり、コストと鉱物資源制約リスクの両面でPower-to-X普及の足かせとなっているため、これらの問題を払拭する触媒が切望されています。
本研究では、レアメタル鉱物資源に依存しない、廃棄バイオマスを原料とする世界で初めての高性能触媒を開発するとともに、その触媒を用いて低コストかつ鉱物資源制約リスクから解放されたPower-to-X技術を確立し、REの拡大と最大活用の実現を目指します。
探索研究では、ホヤ殻由来の高品質なセルロースナノファイバーと家畜の乾燥血粉などに含まれる金属錯体を混合および焼成することで、全く新しい触媒(ナノ血炭触媒)の合成に成功し、水素生成に必要な水電解反応において、白金系等のレアメタル触媒と同等以上の性能を達成し、環境・コスト性能でも優位性を有することを明らかにしました。また、ナノ血炭触媒と類似の構造を有する金属錯体を触媒として用いることで、CO₂からメタンの電解直接合成が可能であることを見いだしました。現在主流のメタン合成技術やe-fuel合成技術は多段階反応を要するため、1段階でメタンを合成できる直接合成技術は低コスト化の面でも有望な技術です。
本格研究では、メタンの直接合成に要する触媒を廃棄バイオマス原料によるナノ血炭触媒で実現するとともに、触媒の原子・分子レベルの構造を最適化し従来触媒をしのぐ性能を目指します。そして、本触媒を担持した電極およびセルスタックを開発し、電解槽システムでの合成メタン製造を実証します。さらに、廃棄バイオマスの収集から触媒合成、電極と電解槽システムの開発製造、合成メタンの流通といった一連のサプライチェーンを構築します。これにより、REの拡大と最大活用を通じて、我が国のエネルギー自立と脱炭素との両立を可能とする資源・エネルギー循環社会の実現を目指します。

図 エネルギー自立と脱炭素との両立を可能とする資源・エネルギー循環社会
研究開発実施体制
〈代表者グループ〉
東北大学 材料科学高等研究所
〈共同研究グループ〉
九州大学、千葉工業大学、AZUL Energy(株)
プロジェクトHP
トピックス
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