- RISTEX
2021年3月11日
東日本大震災から今年(2021年)で10年、熊本地震から5年。今も残る傷跡を我々は忘れることなく、多くの犠牲から得た教訓を後世に伝えなければいけません。RISTEXではこれまで、震災の復旧・復興に向け、被災者・被災地の問題を解決するための数多くの研究開発やその成果の社会実装を支援してきました。ここでは、数多くある研究開発プロジェクトのうち3つのプロジェクトについて、その成果を振り返ると共に、研究開発のその後の展開や活動の一端をご紹介します。
いのちを守る沿岸域の再生/コミュニティを基盤とする復興
(石川 幹子 中央大学研究開発機構 機構教授)
東日本大震災で大きな被害を受けた、宮城県岩沼市玉浦地区を含む仙南沖積平野の集団移転をサポートしつつ、復興の道筋や都市・地域計画の策定に関わる手法を開発・実証。熊本地震の際も、研究成果を活用した復興活動が行われています。
これまでの研究開発の成果と展開の概要はこちら。
関連リンク
- RISTEX「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」研究開発領域 いのちを守る沿岸域の再生と安全・安心の拠点としてのコミュニティの実装(研究期間:平成24年11月~平成27年10月)
- RISTEX熊本地震対応 社会実装推進 終了報告書(実装期間:平成29年7月~平成30年3月):
熊本地震におけるコミュニティを基盤とする復興と文化的景観の再生 - 中央大学HP:東日本大震災からの復興支援9年間の歩み
- 中央大学のニュースサイト
- 中央大学研究開発機構 グリーンインフラ研究室
- NHKのサイト: TVシンポジウム「復興から地域の未来へ~東日本大震災から10年~」
関連授賞
石川幹子教授および研究室が支援してきた東日本大震災復興活動が受賞。
被災者台帳を用いた生活再建支援システムの実装
(田村 圭子 新潟大学危機管理室 教授)
被災後の速やかな復興・生活再建への移行を目指し、建物被害の程度を正しく認定し罹災証明を公平にスムーズに発行できる仕組の導入や、台帳のデジタル化も含めたスピーディーで取りこぼしのない生活再建支援システムを構築。その活用促進のための取り組みが今も行われています。
これまでの研究開発の成果と展開の概要はこちら。
関連リンク
- RISTEX「研究開発成果実装支援プログラム」首都直下地震に対応できる被災者台帳を用いた生活再建支援システムの実装(研究期間:平成24年11月~平成27年10月)
- RISTEX熊本地震対応 社会実装推進 終了報告書(実装期間:平成28年4月~平成29年3月):
「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」の実装 - JST成果ページ(平成28年度):生活再建支援システムの実装
関連授賞
- 2014年10月 公益財団法人日本デザイン振興会グッドデザイン賞「被災者生活再建支援システム」
- (参考)2018年9月 内閣府 平成30年度防災功労者防災担当大臣表彰
逃げ地図作成を通した世代間・地域間の連携促進
(木下 勇 千葉大学大学院園芸研究科 教授)
東日本大震災の津波被災地における復興まちづくりの支援のために考案された逃げ地図作成の手法を応用し、世代間のリスク・コミュニケーションを促し、地域間の連携をはかり、自助、共助の再構成と新たな地域間の連携で「強くしなやかな社会」を目指す活動が今も続けられています。
これまでの研究開発の成果と展開の概要はこちら。
関連リンク
- RISTEX「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」研究開発領域 多様な災害からの逃げ地図作成を通した世代間・地域間の連携促進 (研究期間:平成26年10月~平成29年9月)
- 「逃げシルベ」
「逃げ地図」の完成予想図を、WEB上で手軽に確認できるWEB版の逃げ地図。
2021年2月5日バージョンアップ(和歌山大学 吉野研究室) - 明治大学震災10年特設サイト
- 特別企画「震災と未来」展 -東日本大震災10年-
2021年3月6日~28日 日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
「逃げ地図づくり」に関するパネル展示および動画上映
関連授賞
- 2018年6月 日本建築学会 教育貢献賞
木下勇, 山本俊哉, 羽鳥達也, 子ども安全まちづくりパートナーズ他
東日本大震災に取り組んだ主なプロジェクト一覧 ※所属・役職は当時
- 応急仮設住宅の生活環境改善のための統合的実装活動プログラム
(丹波 史紀 福島大学 行政政策学類 准教授) - 津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクト
(中井 裕 東北大学 大学院農学研究科 教授) - 震災地域の重金属等土壌汚染評価
(土屋 範芳 東北大学 大学院環境科学研究科 教授) - 大型マイクロバブル発生装置による閉鎖海域の蘇生と水産養殖の復興
(大成 博文 徳山工業高等専門学校 教授) - 東日本大震災被災者と救援支援者における疲労の適正評価と疾病予防への支援
(吉田 俊子 宮城大学 看護学部 学部長/教授) - 無水屎尿(しにょう)分離トイレの導入による被災地の衛生対策と災害に強い都市基盤の整備
(清水 芳久 京都大学 大学院工学研究科 教授)
(片田 敏孝 群馬大学大学院 理工学府 教授、広域首都圏防災研究センター長)
(小谷 公人 大分県産業科学技術センター 主幹研究員)
熊本地震に取り組んだ主なプロジェクト一覧 ※所属・役職は当時
研究開発成果実装支援プログラム(公募型)
- 熊本地震における「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」の実装
(田村 圭子 新潟大学 危機管理本部 危機管理室 教授) - 熊本地震における被災者の住まいと暮らしの再建に関わる緊急実装
(丹波 史紀 福島大学 行政政策学類 准教授) - 熊本地震被災地の仮設住宅で暮らす高齢者の行動分析データと医師、保健師、生活支援相談員から得られる情報を統合化したケアシステムの実装
(白水 麻子 熊本県立大学 准教授) - 熊本地震被災地の復旧・復興のための広域連携した情報活用支援体制の実装
(鈴木 進吾 防災科学研究所 主幹研究員)
「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」研究開発領域
- 熊本地震における農業支援・農地等復旧ボランティア実装支援
(朝廣 和夫 九州大学大学院 芸術工学研究院 准教授) - コミュニティに依拠する歴史的市街地の震災復興
(横内 基 小山工業高等専門学校 建築学科 准教授) - 熊本地震におけるコミュニティを基盤とする復興と文化的景観の再生
(石川 幹子 中央大学 理工学部 教授)
関連リンク
- 東日本大震災におけるRISTEXの取り組み
- 減災や早期復興で、災害にしなやかに対応する(成果紹介ページ)
- 「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」研究開発領域(平成29年度終了)