SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(情報社会における社会的側面からのトラスト形成)について

本プログラムが貢献しうる「持続可能な開発目標(SDGs)」

Sustainable Development Goals
目標1:貧困をなくそう
目標2:飢餓をゼロに
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標4:質の高い教育をみんなに
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標6:安全な水とトイレを世界中に
目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標8:働きがいも 経済成長も
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
目標10:人や国の不平等をなくそう
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標12:つくる責任 つかう責任
目標13:気候変動に具体的な対策を
目標14:海の豊かさを守ろう
目標15:陸の豊かさも守ろう
目標16:平和と公正をすべての人に
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

RISTEXのSDGsに関する取り組みについてはこちらをご覧下さい。

RISTEXでは、SDGsの達成に向けて、複合的で幅広いテーマの地域課題に対して既存技術シーズを活用した即効性のあるソリューション創出やソリューションの他地域展開を目指す研究開発プログラムとして、2019年度より「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(SOLVE for SDGs)」を、また、2021年度より当該プログラムの下に「社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築」を設定し、研究開発を推進しています。

情報のトラストに係る問題に対する研究開発も、これらと同様に社会課題解決のソリューション創出を目指すものであることから、当該プログラムに「情報社会における社会的側面からのトラスト形成(デジタル ソーシャル トラスト)」を2023年度に設定しました。

SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(シナリオ創出フェーズ・ソリューション創出フェーズ)

SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)

SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(情報社会における社会的側面からのトラスト形成)

プログラム総括

湯淺 墾道

明治大学公共政策大学院 専任教授

人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)等の急速な発展を背景に、社会のデジタル化は世界規模で、あらゆる場面において浸透しています。社会のデジタル化によって我々は大きなメリットを享受し、社会の利便性は今後もますます向上することが期待されます。しかし、同時に、デジタル化がもたらす負の側面についても、目を向ける必要があります。情報を受信したり利活用したりする立場からは情報過多やフェイク情報の増加、詐欺・犯罪等の被害に遭うリスクの深刻化等、不安や不利益が高まっています。また、情報の発信に携わる側では、情報の品質や正確さは二の次にして人々の関心や注目を集めることに特化した情報発信など受信側からの信頼を得られないような情報発信も増加しています。

これらの問題を情報の受け手側と、発信側あるいは情報そのものとの間の「トラスト」、更には介在する人・組織・情報サービスに対する「トラスト」の形成や維持の在り方の問題と捉え、社会的側面も踏まえた「デジタル ソーシャル トラスト」として、問題が生じるメカニズムの理解・課題把握から対策の開発、さらには課題解決のための社会実装に向けた取り組みを包括的に実施します。

プログラムの目標

本プログラムでは、高度情報社会の進展が生む情報の取得・利活用をめぐる市民の不安や不利益といった社会問題について、これを情報の受け手側と発信側、あるいは情報そのものとの間の「トラスト」、更にはそこに介在する人・組織、情報技術やサービスに対する「トラスト」の形成の在り方の問題と捉えることによって、より本質的な問題解決につながる課題特定、及び解決策の開発と社会実装に向けた検証を図ります。

そのために、規制、経済、技術活用、教育と行った多面的な観点からのアプローチ、関連学問分野や現場の「総合知」の活用により、研究から社会実装に向けた提言や検証のための活動を推進し、健全な「トラスト」を形成することにより、受け手側・発信側の双方が相互に作用しながら情報技術発展によるメリットを享受することができる社会を目指します。

研究開発対象

本プログラムでは、情報化社会の進展が生む社会課題に対して、偽・誤情報やインフォデミックに見られるような情報に関わるトラストの問題を取り上げる研究開発、更には技術面だけではない多面的なアプローチから現場の課題解決につながる研究開発を対象とし、具体的には、以下に示す3つの研究開発要素を想定しています。

①トラスト形成のメカニズム理解、阻害要因の分析
②分析結果を踏まえた対策の開発
③社会実装手法と効果測定法の提案

これらに関する研究開発が「規制・経済」、「技術活用」、「教育」といった各分野において展開されるよう、社会も視野に、一体的に推進します。

マネジメント・チーム

プログラム総括

  • 湯淺 墾道
    (明治大学公共政策大学院 専任教授)

プログラムアドバイザー

  • 伊東 寛
    (情報通信研究機構 主席研究員)
  • 小笠原 盛浩
    (東洋大学 社会学部 メディアコミュニケーション学科 教授)
  • 金子 啓子
    (一般財団法人日本情報経済社会推進協会 客員研究員)
  • 小松 文子
    (ノートルダム清心女子大学 情報デザイン学部 教授 / 長崎県立大学 名誉教授)
  • 近藤 則子
    (老テク研究会 事務局長)
  • 佐倉 統
    (東京大学 大学院情報学環 教授/理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー)
  • 平 和博
    (桜美林大学 リベラルアーツ学群 教授)
  • 浜口 斉周
    (日本放送協会 経営企画局 副部長)
  • 松本 泰
    (NPO日本ネットワークセキュリティ協会 フェロー)
  • 村上 祐子
    (立教大学 大学院人工知能科学研究科・文学部 教授)
  • 山本 龍彦
    (慶應義塾大学 大学院法務研究科 教授)

(五十音順)

「プログラム総括について」

湯淺氏は、情報法を専門分野として、長年に渡り情報セキュリティを中心に研究・教育・人材育成に尽力されています。個人情報や機密情報の漏洩防止に向けた、情報システムへの不正侵入やマルウェアの感染防止といった技術の研究開発を中心に推進されてきた分野に対して、法律・社会制度・経済・公共性を関連付けながら文理融合を目指す研究を先導してきました。本プログラム設定時において副理事長を務められているサイバーセキュリティ法制学会を始め、日本選挙学会、情報ネットワーク法学会、日本セキュリティ・マネジメント学会といった学際的な学会において要職を歴任されています。その一方で、環境省の最高情報セキュリティアドバイザーを始め法務省、海上保安庁、内閣サイバーセキュリティセンター、地方自治体のデジタル化専門委員会においても要職を務められており、新しい情報技術の社会実装支援や関連する法整備に向けた連携活動の推進や政策提言など、具体的な課題解決にも貢献されてきました。

本プログラムは、高度情報社会の進展が生む情報の取得・利活用をめぐる市民の不安や不利益といった社会問題について、これを情報の受け手側と発信側、あるいは情報そのものとの間の「トラスト」、更にはそこに介在する人・組織、情報技術やサービスに対する「トラスト」の形成の在り方の問題と捉えることによって、より本質的な問題解決につながる課題特定、及び解決策の開発と社会実装を目指すものです。そのためには、規制、経済、技術活用、教育と行った多面的な観点からのアプローチや、関連学問分野と現場が保有する「総合知」の活用により、研究から社会実装に向けた提言や検証のための活動を推進することが必要となります。 湯淺氏がこれまでのキャリアで培ってこられた、情報技術や法制度を中心とした学際的な知見、多様な関与者との連携のご経験、更に省庁や地方自治体に対する社会実装支援のご経験は、本プログラムにおいて非常に有用と考えられます。特に本プログラムで対象とする、変化のスピードが著しく速い社会問題の実態を的確に捉えつつ、多様な分野の関与者の間のバランスに配慮したプログラムの運営が期待できるものと考えます。

プログラムの評価

中間評価

活動報告書 評価報告書
(掲載予定) (掲載予定)

事後評価

活動報告書 評価報告書
(掲載予定) (掲載予定)

研究開発プロジェクト

2023年度採択

(a) 課題解決型

可視化によるトラスト形成:パーソナライズされたデジタル情報空間のリテラシー教育
鳥海 不二夫
(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
  • 研究開発実施報告書
    • (掲載予定)
ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成
藤代 裕之
(法政大学 社会学部メディア社会学科 教授)
  • 研究開発実施報告書
    • (掲載予定)

(b) 課題特定型

ローカルエコーチェンバーをステアリングするトラスト調和メカニズムの認知的検討
森田 純哉
(静岡大学 情報学部 教授)
  • 研究開発実施報告書
    • (掲載予定)
陰謀論への流入経路の特定と人々の傾倒を未然に防ぐフレームワークの開発
村山 太一
(横浜国立大学大学院 環境情報研究院 助教)
  • 研究開発実施報告書
    • (掲載予定)

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