陰謀論への流入経路の特定と人々の傾倒を未然に防ぐフレームワークの開発

2023年度(令和5年度)採択 (b) 課題特定型プロジェクト

写真:村山 太一
村山 太一横浜国立大学大学院 環境情報研究院 助教

プロジェクト概要

ソーシャルメディアが普及し、誰でも情報の発信と受信ができるようになったことにより、陰謀論のまん延という新たな課題が生じている。陰謀論は2021年アメリカ議事堂襲撃事件やコロナワクチンなどと関連し、現実に深刻な被害をもたらしている。陰謀論信者はSNSなどで強固なクラスターを形成し、認知バイアスの影響により信念を容易に捨てないことから、陰謀論の対抗策として採用されるファクトチェックなどの事後的な介入であるデバンキングの効果は限定的である。
本研究開発プロジェクトでは、既存の対策であるデバンキングとは異なり、陰謀論を信じてしまう可能性がある人達にアプローチを行うことで、陰謀論信者を生み出すことを事前に抑制するプレバンキングの技術の社会実装を目指す。
具体的には、陰謀論信者の行動パターンや人々が陰謀論に陥ってしまうメカニズムを理解するために、まず、ウェブ上から陰謀論に関するデータを収集する。そして、ウェブ上で人々がどのような経路をたどり陰謀論に陥ってしまうかを視覚的に理解できる「陰謀論経路マップ」の作成を目指す(トラスト形成のメカニズム理解、阻害要因の分析)。構築したリソースを活用し、ウェブ上での行動データから陰謀論に陥る可能性のあるユーザーを早期に発見する前兆行動発見アルゴリズムを開発する(分析結果を踏まえた対策の開発)。最終的には、発見したユーザーに対し陰謀論の抑制を行うための介入フレームワークを社会実装する(社会実装手法と効果測定法の提案)。本プロジェクトの達成は、陰謀論信者化を事前に抑制することで、人々が情報発信やコミュニケーションを安心して行えるトラスト社会の構築に寄与するものである。

図:村山プロジェクトの概要

研究開発への参画・協力機関

大阪大学、東京大学、横浜国立大学、ミラノ工科大学、南カリフォルニア大学、神田外語大学 など

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