可視化によるトラスト形成:パーソナライズされたデジタル情報空間のリテラシー教育

2023年度(令和5年度)採択 (a) 課題解決型プロジェクト

写真:鳥海 不二夫
鳥海 不二夫東京大学 大学院工学系研究科 教授

プロジェクト概要

現在の情報化社会において、その膨大すぎる情報のせいで、我々はどの情報を閲覧するかの決定を人工知能を使った推薦システムに依存してしまっている。この状況は、快適ではあるが情報の取捨選択権を手放したともいえるだろう。AIによる推薦は我々の興味関心にのみ着目し、情報の真偽や有用性を評価しない。その意味で、我々が接する情報は常に偽・誤情報や炎上などの社会リスクに晒されている。にも関わらず、我々が見る情報が人工知能によってパーソナライズされていることが社会的にほとんど認知されていない。この現状と認識のギャップは情報社会におけるトラストを考える上で大きなリスクである。
以上の現状を踏まえ、本研究開発プロジェクトでは以下を行う。
研究開発要素①「トラスト形成のメカニズム理解、阻害要因の分析」:現在フィルターバブル、エコーチェンバーといった用語の理解度は2割以下であり、デジタル空間の実態と個人の主観的認識は一致していない。そこで、利用者の情報空間に対する基礎的認識・行動について調査分析を行う。また、本プロジェクトの成果が個人に受容されるかどうかを、どのような特性を持つ個人がどのような受容性を示すかを含めて解明する。
研究開発要素②「分析結果を踏まえた対策の開発」:デジタル情報空間そのものに対するリテラシー教育の開発を行う。このとき、リテラシー教育の実効性を高めるための可視化技術を併せて開発する。具体的な可視化対象は、情報の偏り、偽・誤情報、フィルターバブル、エコーチェンバー、アテンションエコノミーを想定している。
研究開発要素③「社会実装手法と効果測定法の提案」:本プロジェクトの成果を社会実装する上では、システムや制度のコスト負担の問題は避けられない。そこで、個人の意識として受け入れられるコスト負担の在り方を探る。

図:鳥海プロジェクトの概要

研究開発への参画・協力機関

東京大学 、武蔵大学 、静岡大学 、筑波大学 、目白大学 、中央大学 、株式会社サイバーエージェントなど

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