ニュース発信者と受信者間における「トラスト」形成

2023年度(令和5年度)採択 (a) 課題解決型プロジェクト

写真:藤代 裕之
藤代 裕之法政大学 社会学部 メディア社会学科 教授

プロジェクト概要

フェイクニュースやヘイトスピーチなどが民主主義社会を揺るがしている。その背景には発信者と受信者が相互作用し、ニュースが生成・拡散されるニュース生態系の「汚染」がある。生態系には、報道機関だけでなく、偽・誤情報を拡散するミドルメディア、世論工作を行う組織など、玉石混交の発信者が存在しているが、発信者の運営・取材・編集方針は多くの場合不透明であり、受信者が信頼性の高い発信者を判断する手がかりが不足している。不確実性の高い「こたつ記事」のまん延、生成AIによる偽情報や動画が増大しており、信頼性判断を一層困難にしている。
本研究開発プロジェクトでは、ニュース生態系における「トラスト」形成の阻害要因を分析する。発信者側としては偽・誤情報対策など信頼性向上の取り組み実態を国内外で調査する。受信者側としてはニュース接触時における信頼性判断の実態を把握する。また、偽・誤情報対策に有効なリテラシーを特定する。これらの調査から、信頼性判断の手がかりについて不足している要素などを可視化し、分析する。
分析を踏まえ「指標」「教育」「制度」から課題解決を目指す。発信者では報道機関などの取り組み事例を分類して信頼性に必要な要因や構造を明らかにし、発信者が公表する項目や表記手法を検討する。その際に「指標」が持つ権力性を統制するためのガバナンスや「指標」が実効性を持つための規制のあり方を検討する。受信者では、それぞれの関心に基づき信頼性を判断できる「指標」を開発し、判断をサポートするシステム開発も行い、連携する団体や施設の協力を得て実証的に評価検証を行う。
発信者と受信者の相互作用により、信頼性の高いニュースが生態系を循環することで両者間に「トラスト」が形成される社会を目指す。

図:藤代プロジェクトの概要

研究開発への参画・協力機関

法政大学、関西大学、武蔵大学、島根県立大学、成蹊大学、東京工業大学、国際大学、株式会社リ・パブリック、株式会社ゆめみ、ユニークビジョン株式会社、弁護士ドットコム株式会社 など

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