国際科学技術コンテスト

科学オリンピックだより 2021 Vol.21 コロナ禍での開催を探った「国際科学オリンピック 2020」

全国の小中学生へ 科学オリンピックへの初めの一歩




オンライン ワークショップは、東京都・渋谷区こども科学センター・ハチラボを拠点にして、物理、地学、数学、生物学、地理、化学、情報の7教科が実施されました。いずれも、将来科学オリンピックの参加を目指す小学校高学年や中学生にも分かりやすく、また、各教科のおもしろさが体感できるようにと、身近なテーマを題材に多彩な工夫が凝らされたユニークな講義が繰り広げられ、視聴した生徒たちには国際科学オリンピックへの第一歩となったようです。

ここではオンライントークショーの直後に行われた物理のワークショップ、「光を知って光でさぐろう!青空から砂山まで偏光で巡る物理の旅」を紹介します。講師は、国際物理オリンピックメダリストで東京大学理学系研究科助教の西口大貴先生が務めました。

冒頭、西口先生が取り出したのは2枚の偏光板。2枚重ねても透けて見えていた西口先生の顔が、1枚の偏光板を90度傾けると真っ暗で見えなくなってしまう現象を実演しました。「板の向こうが透けて見えるということは、光が透過しているということ。実は、光は振動で上下、左右、斜めにとさまざまな向きで飛んでいます」と語り、光を摸した針金と一方向の光のみを通す偏光板の模型を使って、2枚の偏光板の角度を変えることで光が遮られる理由を説明しました。

この偏光の性質は、パソコンやタブレットなどに用いられる液晶ディスプレイや偏光サングラス、カメラレンズ用の偏光フィルターなど数多くの製品に応用されています。「もちろん、これらの人工物だけでなく自然界にも偏光は存在しています」と西口先生。その一例に青空を挙げ、青空の下にかざした偏光板の角度を変えることで空が真っ暗になる理由を実験室にある水槽を使って説明しました。

その他にも、プラスチックや液晶の特性を利用した実験や、粉(粒)体を使ってどのように力がかかっているかを可視化する実験などを紹介しました。

「今回の青空のような自然現象を実験室で再現し、比較したりすることができるのが物理の魅力の一つです。そして、その仕組みが分かると、今まで何気なく見上げていた空も見え方や感じ方が変わってきますよね」と西口先生。続けて、「今日紹介した『偏光』のように、学校で学ぶ基礎的な内容が大学などで行われている最先端の研究にも深く関わっています。そして、得た知識を生かして他の自然現象を解き明かす実験を組み立てたり、自らの興味を深めたりすることができます。日常生活に便利な製品を作ることもできます」と語り、「ぜひ皆さんも偏光板を手に身の回りのいろいろなものを見て、何か新しい発見をしてみてください」と呼びかけました。




2枚の偏光板を紹介する西口先生


模型を使って説明する西口先生


水槽を使った偏光実験の様子


粉体を使った発光実験の様子


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