科学教育への提言
考える力のある生徒が、楽しんで伸びる
洗足学園中学高等学校(神奈川県川崎市) 神谷史穂先生
近年、科学オリンピックに挑戦する生徒が増えている私立洗足学園。生徒たちの背中を押し、参加の手助けをしている理科の神谷史穂先生に、子どもたちが科学オリンピックにチャレンジする意義について伺いました。
以前に教えた生徒で、海外の学校にいて理科を習わないまま、中学2 年に編入してきた帰国生がいました。はじめは授業についていけず悩んでいたようですが「どんな本を読んだらいいですか?」と聞きに来たり、わからないことはすぐに質問したりするような生徒で、理解が深まるにつれ理科が好きになり、力もどんどんと伸びていきました。高校生になると学校外での実験イベントや天文学実習、さらに全国高校化学グランプリや物理チャレンジにも参加するようになりました。知識よりも思考力を試される科学オリンピックの難しい問題も、楽しみながら解いていたようです。日本代表には選出されませんでしたが、今も大学で化学を学んでいます。
最初から理科が得意でなくても、自ら考え、探求することが好きなすべての子どもたちにとって、科学オリンピックは楽しみながら力を伸ばすことができる素晴らしい機会になると思います。
世界標準の科学に触れて
スタートラインは、みんな同じです
東京大学理科一類2年生 松元叡一さん
国際情報オリンピックでは2年連続で銅メダルを獲得し、
物理オリンピックでも銀メダルを獲得した松元叡一さん。
世界の舞台でどんなことを経験し、何を感じたのか、詳しくお聞きしました。
国際科学オリンピックに出場したことで、自分より優秀な人たちや、自分がすごいと思っていた人をさらに上回るような人たちとたくさん出会いました。世界の広さを感じたと同時に、彼らと直接に出会えたことでその人柄がわかって、確かにみんなすごいけれど、やはり自分と同じ人間なんだと実感することができたんです。
国際科学オリンピックに参加することは、けっして特別なことではありません。僕は、物理も情報もほぼゼロに近い知識レベルから挑戦し、予選、本選と各試験に向けて勉強するなかで段階的に力を伸ばしていきました。スタートラインは、みんな同じです。自分には無理だと決めつけず、少しでも興味があればまず受けてみてください。そこでしか出会えない仲間がきっと見つかると思います。