- 公私領域
2022年6月3日
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ニーズ
子どもたちを守り、育てる -
領域・プログラム
「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域
- 研究開発プロジェクト名
「親密圏内事案への警察の介入過程の見える化による多機関連携の推進」 - 研究代表者
田村 正博(京都産業大学 社会安全・警察学研究所 所長) - 研究開発期間
平成27(2015)年度~平成30(2018)年度 - 報告書
研究開発実施終了報告書(PDF: 946KB) - Webサイト
「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域 - プロフィール (2022年6月)
昭和52年(1977年)警察庁入庁。秋田県警察本部長、福岡県警察本部長、早稲田大学客員教授、警察大学校長等を歴任。平成25年(2013年)1月、退官。同年4月から京都産業大学法学部教授。現在、同教授のほか、社会安全・警察学研究所長、警察大学校講師、弁護士を兼任。
研究開発の概要
児童虐待への対応において、警察の捜査は重要です。しかし警察が動く判断基準がわからないなどの理由から、児童相談所との連携に不具合が生じがちです。そこで本プロジェクトは、警察が刑事事件としての介入を行う条件をわかりやすく示しました。
- 犯罪捜査の初めての言語化
- 児童福祉に携わるひとのためのハンドブックの作成
- 相互理解のための場の設定と発信
ハンドブックは、警察による捜査について児童相談所などが理解できるようになることに貢献できると考えられますが、今後は、児童相談所の対応が警察や他の機関に理解できるようにするための取組みが望まれます。
研究開発の詳細はこちらをご参照ください。
児童虐待の事件が報道されるたびに、「児童相談所と警察との連携はどうなっていたのか」と騒がれます。 田村プロジェクトでは2015年から、児童相談所(以下、「児相」)をはじめとする関連組織の「警察との連携強化」をよりスムーズなものとする、ハンドブックづくりに取り組んできました。警察側と、連携を試みる側、双方の実態に即した内容を、緻密な調査・整理・分析・考察に基づき集約。冊子は2019年7月現在、全国の児相に5冊ずつ配布され、WEB版も無料公開しています。
目次
第1 警察と刑事手続の基礎知識
1. 警察組織 2.警察の活動 3.犯罪捜査とその後の刑事手続の流れ 4.警察の捜査の特徴 5.事件化の判断 6.警察捜査の考え方
第2 Q&A
【連携・協同面接・司法面接】【情報共有】【事件化】【捜査の遂行と刑事法の適用】【報道発表と秘密保持】【通告】【警察署・警察の体制】【児童相談所への評価・期待】
第3 刑事手続が、被害児童に与える「プラスの影響」について
1.従来の問題点 2.刑事手続を経ることでのプラスの影響 3.被害児童にとって「プラス」となるように留意すべきこと
第4 用語集(警察の組織と行動が分かる110語)
たとえば、こんな疑問や不安はありませんか?
「警察に知らせたら、事件にされてしまって取りかえしがつかない」
「警察は遠慮がないし、やたらと急かされる。やっぱり忙しいから?」
「子どもへの聞き取りで、子どもがますます傷つくのでは」
「『事件』になっても、誰も得しない。被害者がイヤな思いをするだけ」
「関係者なのに、情報を教えてもらえないのは納得できない」
ハンドブックは「なぜ、そうなるの?」という問いに具体的に答えます。
警察の組織、体制、考えかたや、児童虐待に対し「事件として介入」する際の判断、捜査の流れ、報道への対処、警察に期待できる対応や留意点など、疑問や不安を解消する答えとヒントがぎっしり詰まっています。
たとえば、ハンドブック内に詳細が記載されていますが、児相職員への暴行や脅迫は「公務執行妨害」にあたります。通報すれば警察官が複数駆けつけるほどの罪状ですので、どうぞ「迷わず」通報してください。
その後の展開
研究開発成果の『児童福祉に携わるひとのための「警察が分かる」ハンドブック』に呼応する、『警察官・警察職員のための「児童福祉が分かる」ハンドブック』が、厚生労働省の令和3年度調査研究の成果物として作成されました。ハンドブック作成委員会のメンバーとして、プロジェクトメンバーであった 増井敦 京都産業大学法学部准教授が参加されています。
ハンドブック自体は非公開となっていますが、概要版が以下に公開されています。
- デロイト トーマツ 調査レポート
警察向け「「児童福祉」がわかるハンドブック(仮称)」作成に係る調査研究報告書
関連リンク
- 「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域
- 研究開発プロジェクト