国際科学技術コンテスト

科学オリンピックだより 2019 vol.19

日本政府が掲げる統合イノベーション2019について考える

続いて池上氏は、「世界の科学技術の動向」とその中での「日本の立ち位置」に関する資料を提示し、「日本は一部の世界競争力ランキングで上昇しているものの、起業のしやすさでは190カ国中106位と低迷しており、"新しい産業が興りにくい国"だ」と解説しました。 また、「こうした状況の中、日本政府はSociety5.0の実装をめざしているが、それがどのような社会なのか想像してみましょう」と提案。狩猟社会のSociety1.0、農耕社会の2.0、産業革命後の工業社会の3.0、現在は情報社会の4.0と進んできた、 と小学生も混じる聴衆の理解を整備し、Society5.0への意見をパネリストたちに尋ねました。山中氏は、「人間は本当に幸せになったのでしょうか」と疑問を呈し、 「Society5.0の超スマート社会は誰もが幸せである社会にしなくてはならない。例えば医療では、一人ひとりに 最適な個別医療が提供されるようになるべき」と指標を掲げました。

池上さんと話す末松さん

一方、チャン氏は、「この30年のインターネットの発展によって、世の中の変化や競争は激化しています。それでも、アマゾンの『人の生活をよくしたい』という姿勢に何ら変わりはありません。 それは、Society5.0になっても基本的に人間中心の社会だということに変わりはないということです」と、AIなどの技術はあくまでも人のためであることを強調しました。
岩間さんは、Society 5.0がどのような社会なのか、正直よくわからないとしながら、「そうなっても、人との関係を大切にすることは変わらない世界であって欲しい。 スピードが問われる時代ではあるけれど、ゆっくり考えることで面白い発想が生まれることもあるので、じっくり考えることを支えてくれる社会であって欲しい」と願いを語りました。

「AIに仕事を取られると恐れるのではなく、AIに任せる仕事と、人間がやる仕事の見極めが大事ですね」という池上さんの発言をメモしていた末松さんは、 Society 5.0については、「子供の頃に、両親に理科や算数の問題を出してもらい、それを解くことが好きになり、科学が大好きになりました。好きなことがいくらでもできる、好きな分野に専念できる社会になったらいいと思います」と、素直な気持ちを伝えていました。

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