山中伸弥教授講演 ~必要は発明の母、偶然は発明の父
2012年にノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長/教授の山中伸弥氏は、「iPS細胞がひらく新しい医学」と題した講演で、今後の研究の見通しに加え、自身がどのようなきっかけで研究者の道に踏み出し現在に至っているかを紹介しました。
臨床医になった当時、有効な治療法のなかったC型肝炎ウイルスで父親がなくなったことで、将来多くの患者を救う可能を求めて研究医を目指したと話し始めた山中氏は、幾つかの偶然が重なってNATl(Novel APOBECl Targetl)という遺伝子を見つけたこと、 その遺伝子はES細胞にも影響を及ぼすことを突き止めたこと、などを言吾りました。発明を成し遂げるに言われる「必要は発明の母」に重ねて、「浅島先生が発見したアクチビンは、ES細胞からいろいろな細胞ができるときに重要なもので、この発見がなければ今の研究はなかったでしょう」という説明と共に、自身の経験も含め、 「研究は思いがけないことの連続」であるとして「偶然は発明の父」という言葉で講演を締めくくりました。
パネルディスカッション 科学の意義や可能性、国際科学オリンピックが果たす役割について考える
シンポジウムで最も時間をかけたパネルディスカッションには、山中氏、アマゾンジャパン社長のジャスパー・チャン氏、国際生物学オリンピックに日本が初めて参加した第16回大会で銅メダルを獲得し、現在東京大学大学院農学生命科学研究科助教の岩閻亮(リョウ)さん、2019年7月に開催されたばかりの第51回国際化学オリンピックで金メダリストとなった高校2年生末松万宙(マヒロ)さんが登壇しました。
冒頭挨拶で、チャン氏は、「世界中で拡充を続けるアマゾンのイノベーションの源泉は、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮できるよう設定した『リーダーの行動理念』にある」と述べ「お客様に徹底してこだわることから、アマゾンのイノベーションは始まり、の終わりは無い。毎日が始まりの日"Day 1"という考え方を大切にしている」とグローバル企業としての姿勢を紹介し、「誰のためのイノベーションかを考え続けて欲しい」と聴衆に呼びかけました。