【開催報告】「世界社会科学フォーラム(WSSF:World Social Science Forum)2018 福岡 開催(共催)」その3(全3ページ)

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Parallel DAY2 (16:30-18:30, 26. Sept. Room: 409)
CS1-11 The Belmont Forum-NORFACE Transformations to Sustainability programme: Re-structuring the field of sustainability research for sustainable and secure futures

Moderator: Kaoru Sugihara, The Research Institute for Humanity and Nature (RIHN), Japan

Photo_モデレータの杉原薫氏。WSSF2日目となる9月26日、ベルモント・フォーラムCRA「Transformations to Sustainability(T2S;持続可能な社会に向けた転換)」プログラム(*)のキックオフが、パラレルセッションとして行われました。本セッションでは、杉原薫氏(総合地球環境学研究所 特任教授)のモデレータのもと、T2Sの採択プロジェクトから、研究概要などについて講演が行われました。

基調講演では、サセックス大学・Melissa Leach氏から、持続可能性への転換と、その理解の促進の重要性が指摘され、新しい転換経路が必要だと提唱しました。

その後、各プロジェクトからは、「持続可能性への転換を可能にするアマゾンのガバナンス」、「Anthropoceneにおける人間と野生動物の統治」、「社会技術変革のガバナンス」、「クリーンエネルギーと経済のための持続可能なビジネスモデル分析」、「持続可能な平和・安全を保持するための方策」について発表がありました。

今後、本キックオフをきっかけに、プロジェクト間の連携・協力が進み、持続可能な社会への変革が進むことが期待されます。

*ベルモント・フォーラムとは、2009年に設立された地球環境変動研究を行う世界各国のファンディング・エージェンシー(研究資金配分機関)の集まりです。毎年、Collaborative Research Action(CRA)というテーマを設定し、国際的な共同研究に対する公募を実施しています。

Parallel DAY4 (14:00-16:00, 28. Sept. Room: 501)
CS4-10 Key roles of social sciences in Future Earth, a global research initiative to support the sustainable development goals (SDGs)

Chair: Tetsukazu Yahara, Institute of Decision Science for a Sustainable Society, Kyushu University, Japan

Photo_セッション中の様子。

WSSF最終日である、9月28日には、「フューチャー・アース構想の推進事業」採択プロジェクトの代表者 矢原徹一氏(九州大学持続可能な社会のための決断科学センター センター長)が、上記パラレルセッションを開催しました。そこで、「SDGsを支援し、国際的な研究活動を展開するフュ-チャ-・ア-スにおける社会科学の重要な役割」をテーマに、フュ-チャ-・ア-スの関係者から、各々の研究活動における社会科学の役割とSDGs関連の取組状況などについて講演しました。

まず、フュ-チャ-・ア-ス事務局長Amy Luers氏より、「On shifting Human and Local to the center of Global Environmental Change」と題して、フュ-チャ-・ア-スの理念と体制、およびTD研究(Co-Design, Co-Production, Co-Deliveryの概要)について紹介しました。特にTD研究では、専門家と様々なステークホルダーをつなぐコミュニケーターの役割が重要であり、そのような人材育成の必要性が指摘されました。また社会問題を俯瞰して捉え、広い視野で社会問題の解決に取り組むという、社会科学の重要性も示唆されました。

フュ-チャ-・ア-スAdvisory Committee共同議長であるLeena Srivastava氏からは、「Challenges to adopting an integrated, indivisible approach to inter-linked SDGs」と題して、SDGsの17の目標は、持続可能な社会の実現を目指して定義された目標であり、フュ-チャ-・ア-スの様々な研究成果から得られた科学的知見やアウトカムは、持続可能な社会への転換とそれを加速させるために役立てる必要があると述べました。

インディアナ大学教授/フュ-チャ-・ア-ス前Science Committee委員のEduardo Brondizio氏は、「What happened to the "human dimensions" box? Reflections on the social sciences from global change research programs to Future Earth」と題して、長年、環境問題に関する国際的な研究活動に携わってきた経験から、社会科学の役割や強みなどについて言及。今後のフューチャー・アースの取組において、SDGsの目標間での様々なレベルにおける連携、及び世界的に主要なフレームワーク(SDGs、パリ協定、国際的な生物多様性戦略など)を統合するアジェンダの創出に期待を寄せました。

その後、JST-RISTEX「フュ-チャ-・ア-ス構想の推進事業」において採択されている研究プロジェクトの代表者より、講演がなされました。

愛媛大学社会共創学部教授の佐藤哲氏からは「Co-creation of knowledge partnering with vulnerable sectors: a missing component in the Future Earth processes」と題して、自然資源の管理を通して貧困条件下の人々との協働により、様々な知見の創出や発見を進めている研究プロジェクトの概要について紹介しました。

矢原徹一氏からは、「Decision Science as an integrator of social and natural sciences for Future Earth」と題して、現在進めているフュ-チャ-・ア-スにおける、以下3つのリサーチ・アジェンダに対するアプローチとその成果の発信予定について紹介しました。

  • How can we successfully co-design our projects under various conflicts of interest?
  • How can we develop solution-oriented trans-disciplinary science by integrating natural and social sciences?
  • How can we transform our society for a sustainable future?

今後、上記2つの研究プロジェクトによる連携を進めるとともに、今後日本発の研究成果を通じて、フューチャー・アースやSDGs達成への貢献が期待されます。

*JST-RISTEXでは、2015年より始動している「フューチャー・アース(Future Earth)」構想のもと、「フューチャー・アース構想の推進事業」として、2014年度より「日本が取り組むべき国際的優先テーマの抽出及び研究開発のデザインに関する調査研究」と「課題解決に向けたトランスディシプリナリー研究」を実施しています。

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