- 科学技術と人間
2012年6月13日
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ニーズ
科学技術と社会の関係を考える -
領域・プログラム
「科学技術と人間」研究開発領域の成果
- 研究開発プロジェクト名
「自律型対話プログラムによる科学技術リテラシーの育成」 - 研究代表者
大塚裕子(財団法人計量計画研究所 言語・行動研究室 主任研究員) ※終了当時 - 研究開発期間
平成18年度~平成21年度 - 報告書
研究開発実施終了報告書(PDF:2729KB) - Webサイト
「科学技術と人間」研究開発領域WEBサイト
「科学技術と人間」研究開発領域「21世紀の科学技術リテラシー」
研究の概要
自律型対話プログラムにおけるディスカッション練習の流れ
科学技術の分野における社会的な問題の解決や意思決定に参加するためには、「座学」で得る知識だけでなく、話し合いの場で話の内容を理解し、問題を発見・共有し、積極的に質問する能力、わかりやすく説明する能力などが必要です。
この研究開発プロジェクトでは、大学生の「対話力」を中心としたコミュニケーション能力を高めることを目的として、ファシリテーターなどの支援者がいなくても当事者が直接話し合い、問題を解決する「自律型」の対話ができる学生を育成するための大学の授業「自律型対話プログラム」の研究開発を行いました。
研究の成果
大学生を対象に、「トランスサイエンス」をテーマに半期15回分のワークショップ型の授業プログラムを設計、複数の大学で3年間にわたり実践しました。また、授業シラバス、教材、授業設計のための事例集、教員用マニュアル、評価項目リストなどを作成、どこの大学でも実践できるようパッケージ化しました。
また、本授業プログラムによる芝浦工業大学での教育実践が評価され、関東工学教育協会賞を受賞するとともに、研究成果を発表した論文が第14回交通工学研究会技術賞、および平成22年度日本工学教育協会賞を受賞しました。
交通工学研究会技術賞は、対話を重視した交通計画技術の教育に関する新しい取り組みおよびその効果に関する報告に対し、近隣住民を招いての発表等が評価されました。
また、日本工学教育協会工学教育賞は、関東工学教育協会の推薦を受け、芝浦工業大学での自律型対話プログラムに基づく授業実践が評価されたものです。
現在の状況
プロジェクトメンバーが所属する大学だけでなく、様々な大学の先生方から「自律型対話プログラム」のお問い合わせをいただいています。ホームページをご覧になっての問い合わせも多いですが、2010年8月に日本工学教育協会の年次大会で発表したところ、さらに多くの反応がありました。
コミュニケーション能力の育成は、多くの大学が直面している重要かつ不可避の課題です。2011年1月にナカニシヤ出版から、本研究プロジェクトの成果が「話し合いトレーニング~伝える力・聴く力・問う力を育てる自律型対話入門」として出版されました。さらに多くの方々に、自律型対話プログラムの理念や方法、実践への関心を持っていただきたいと期待しています。