調査報告書
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スタートアップエコシステムと大学 ~技術分野、国の政策、大学の戦略の視点から~

エグゼクティブサマリー

本報告書は、既に発刊した報告書から得た、シリコンバレー、ボストンなど世界のスタートアップエコシステムは、大学が生み出す革新的な知と優秀な人材の存在によって持続的なエコシステムを形成している、という認識の下、「日本のスタートアップ政策は技術分野(セクター)の特性を捉えていないのではないか」「日本ではスタートアップエコシステムの求心力たるべき大学の役割(戦略)が未成熟なのではないか」という問題意識から、主要国の動向を調査して作成されたものである。

調査からの主な示唆としては、スタートアップ・エコシステムの要である人材(精神・文化、知識)、および革新的な科学技術のシーズは主に大学から生み出されるものであり、国として持続的なエコシステムの基盤を構築するには、大学に起業家教育から研究開発、イノベーションまでをつなぐアントレプレナーシップエコシステム、ここでは下記の四輪駆動プラットフォームが必要であるというものである。

②大学による自律的な起業支援プログラムの充実(創成)の取り組み(アクセラレーター・大学関係VC)を核として、①大学の起業家人材育成の取り組みから、③政府の戦略・政策プログラム(研究開発・人材育成ファンディング)、④大学スタートアップへの出資(官民ファンド等)、までの橋渡し構造を形成していくことが考えられる。これには大学の自律的な取り組みが必要であるが、そのための資源(特に大学が戦略的に使用できる一定のフレキシブルな資金)が不十分なので、政策的支援を行う動機がある。

もちろんすべての大学で行う必要はなく、まずは国内に2~3つ程度このような環境が整備された大学を作ることを目指し、成功事例が出てきたら、優れた取り組みを他大学に横展開していくモデルが考えられる。

一方、予算の大部分を公金に依存したままでは、プロジェクト(事業)を継続・拡大できないことはこれまでの政府の数多の基盤整備プログラムが実証してきた。最初のとっかかりとして、公的支援は出すにしても最終的には民間や寄付、あるいはサービスや投資収入から資金を調達することを目指す(最終的には自律を目指すモデルを、今後5~10 年で(2、3の成功事例とともに)確立し、それを徐々に拡大していくことが必要である。

※本文記載のURLは2023年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。