「研究開発の俯瞰報告書」での注目すべき研究開発領域の解説記事を中心としたコラムを掲載します。この他、国内外の科学技術政策に目を向けた話題も取り上げていきます。
近年、「メタサイエンス」という言葉を聞く機会が増えてきた。メタサイエンスとは、科学のあり方自体を対象とする研究と、その知見に基づく実践である。「再現性」に関する問題意識を中核にしつつも、科学を研究対象とする諸分野を包含する概念として、さらに近年は資金配分機関やアントレプレナーなども巻き込む運動として広がってきた。JST-CRDSは昨年度よりこの動向に着目し、その一部は2023年3月発行のレポート「拡張する研究開発エコシステム」の中で報告した。以下では、その後2023年5月に参加した国際会議「Metascience Conference」での見聞も含め、メタサイエンスの研究・実践の広がりについて紹介する。…
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英国、米国、中国、欧州連合やドイツ等加盟国の国内レベルでも、地域格差是正の方策が進められています。英国は、ⅰ)EU離脱に伴う規制緩和を活用した国際的投資の誘致、ⅱ)研究開発の公的投資増大を通じた民間投資の誘発、ⅲ)英国の得意な発見的科学・発明を社会課題解決へ迅速・柔軟に発展させる高等研究発明局の活用、等により、各地の経済成長を促して、全国に高度技術・高収入の職を創出し、基盤構造・機会・投資等の活用に関する地域格差の是正を目指しています。…
DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、研究開発における装置やソフトウエアなどへの影響も大きく、ツール類はさらなる高性能化を求められるようになっていく。同時に、革新的な研究成果の創出における先端研究機器が果たす役割も増大している。ところが、日本においては、先端研究ニーズに応えうる先端研究機器を産学官が自ら生み出すことが難しくなっている。結果として、それらの機器を利用する先端研究にも出遅れてしまった。今まさに直面しているこの課題についても、JSTの研究開発戦略センター(CRDS)は重要な提言を行った。…
新型コロナ感染症の影響が一つのきっかけとなり、研究開発環境にもDX(デジタル・トランスフォーメーション)の波が訪れるなど、大きな変革が始まっている。この機に変貌を遂げることができるかどうかは、日本の科学技術・イノベーションの将来を左右するだろう。中でも重要な課題である「研究開発環境」「研究機器・装置開発」について、産官学がいかに連携して新しいカタチを生むか。JSTの研究開発戦略センター(CRDS)の提言をもとに考えてみたい。…
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、必要性が高まってきているのが「数週間から十年先ぐらいまでの気象・気候予測」です。CO₂排出削減とは直接関係なさそうな予測の技術が、なぜカーボンニュートラル社会の実現に必要なのか。また、どのように貢献しうるのかを、CRDSシステム・情報科学技術ユニットの嶋田義皓フェローが解説します。…
2020年10月に政府が発表したカーボンニュートラル宣言では、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%削減(2013年度比)し、2050年までに全体としてゼロにするという高い目標を掲げています。この数値をクリアするためには、官民が一体となった取り組みが必須であることはいうまでもありません。そんな中で、カーボンニュートラル社会の実現に寄与すると期待されている科学技術の取り組みがあります。今回はそのうちの「ネガティブエミッション技術」と「デジタルツイン」にフォーカスして、最新の動向をそれぞれの担当フェローが解説します。…
量子コンピューターや量子暗号通信、量子計測・センシングといった「量子技術」が注目されています。2022年4月には政府の新国家戦略「量子未来社会ビジョン」が策定され、量子技術によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速はクォンタムトランスフォーメーション(QX)と強調されました…
ジャーナリストの国谷裕子さんと、環境・エネルギーユニット ユニットリーダーの中村亮二との対談の後編です。脱炭素の技術を社会に実装していくためには何が必要か、どうすれば一般市民が自分事として捉えるようになるか…
地球温暖化の抑止に向けて動きだした世界に歩調を合わせ、日本でもカーボンニュートラル社会の実現に向けた官民の取り組みが進行しています。ただ、その目標は極めて高く、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減し…
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は2021年8月に公表した報告書で、「向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に、地球温暖化は 1.5℃及び 2℃を超える」という予測を示しました…